物流の風雲児「脱・下請け」で売上高3倍の大胆戦略 急成長のSBSがM&Aで得た「勝利の方程式」
――M&Aを拡大戦略の軸に置いた背景は?
かつて日産自動車でカルロス・ゴーン氏が改革を進め、グループの物流会社を売却した。このときほかのメーカーでも同じように物流子会社を売却する動きが広がると思い、M&Aで成長していこうと考えた。
ずっと規模拡大が必要だと思っていた。日本の物流は日本通運やヤマト運輸、佐川急便などの大手が昔から存在し、売上高20億~30億円の会社でもみんな下請けをやっている。
SBSも下請け中心のときがあった。小さな会社では資金繰りも苦しくて……。ただ、物流で下請けに甘んじると成長できない。大手にどう対抗するか考えたときに、必要なのは規模。規模を広げるためにM&Aが必要で、M&Aのために株式上場しようと思っていた。
上場時はメール便が中心だった
――物流業界で3PL業者は多く存在しますが、なぜSBSは3PLに参入したのでしょうか?
2003年の上場時はメール便の事業が中心で、ほかは運送業と人材派遣業。ただ当時は郵政民営化の話もあった。結局、メール便は郵政の事業で、いずれ価格競争になって生き残れないだろうと思い、事業を売却。物流のM&Aを本格的に進めることにした。
実際、これまでいろいろなメーカーの物流子会社をM&Aでグループに入れ、戦える集団に変えて伸ばしてきた。3PLを簡単に言えば物流のアウトソーシングで、単に倉庫事業だけで3PLという会社もある。
われわれは倉庫内のオペレーションをやり、トラックの運送、システムまで携わることで合理化する。そこまで含めて3PLと言っている。
メーカーは工場に投資するが、物流には投資しないし、倉庫も作らない。それをSBSが代わりにやる。売却した物流会社が成長して安定すれば、仕事を頼むメーカー側にとってもいい。SBSが投資をして責任を持って事業を拡大するのは最適の形だろう。
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