人や家畜も犠牲「最高気温50℃」経験した町の現実 「火の玉を投げつけられているような感じ」
エルモシージョ当局は、ホームレスの人々に水を配布し、市民に対しては帽子とゆったりした服を着用し、火を使う料理を控え、直射日光を避けるよう促した。暑さを避けようと、エルモシージョから車で1時間という近くの川まで水浴びに出かける家族もいた。
地元の人々がレクリエーション目的で訪れるエルモシージョ郊外のパセオ・エル・モリニトでは、バシャバシャと水遊びをする子どもたちやビールをちびちびと飲む親たちの姿が見られた。
木々のかすかなざわめきに合わせてハンモックがのんびりと揺れ、スピーカーからはアコーディオンの音楽が流れていた。この場所で入場料の徴収を担当している男性は、普段より遅い時間まで営業を続ける予定だと語った。
「田舎の農家のように早起きしろ」と大統領
エルモシージョからエル・モリニトに至る道沿いでは小規模な山火事がいくつか発生し、ただでさえ耐えがたい猛暑の1日を一段と耐えがたいものにしていた。エルモシージョがあるメキシコのソノラ州では、メキシコ森林委員会によると、今年はこれまでに89件の山火事が確認されており、過去20年超で最多となっている。
メキシコの大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは、今回の熱波に関するメディアの報道は大げさで扇情的だと批判。国民に対し、「たくさん水を飲み、直射日光を浴びすぎない」よう勧めたうえで、「田舎の農家」のように「早起きする」よう促した。
ソノラの農村部の人々はうだるような暑さを避けるために、午前4時に働き始めて、正午には作業をやめる。気温が落ち着いて作業が再開できるようになる午後4時まで休むのだ。
だが、暑さに耐えられないのは人間だけではない。一部の電子機器は、長時間にわたって高温にさらされると動かなくなる。
「まだ7月、これからさらに8月と9月がやってくる」と、エルモシージョ郊外に住むレフジオ・エストラーダはいう。夏の盛りはまだこれからだと、人々は身構えているのだ。
(執筆:Elda Cantú記者)
(C)2023 The New York Times
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