人や家畜も犠牲「最高気温50℃」経験した町の現実 「火の玉を投げつけられているような感じ」
さらに、ドミンゲス・サルミエントの説明によると、雷雨を伴う雲の集団が周期的に赤道を移動するマッデン・ジュリアン振動によって雲の発生が一段と阻害されたことも、厳しい暑さの原因の1つになっていた。
人間による土地利用も暑さをより厳しいものにしていたと、ドミンゲス・サルミエントは付け加える。「地表がもっと多くの緑で覆われていれば、そこまで暑くは感じないかもしれない。しかし実際には、私たちはアスファルトに囲まれており、これも不快感につながっている」。
「日傘をさしていても、暑さで目が破裂しそう」
人口約93万6000人のエルモシージョの人々は、こうした都市環境によって、焼けるような目の痛み、ズキズキという頭痛、そして大量の発汗などの不快感に悩まされた。
ソノラ大学のキャンパスを独りで歩いていた学生のルイス・グランデは、「日傘をさしていても、暑さで目が破裂しそうだった」と語る。
それでも、昔から酷暑に慣れているエルモシージョの人々は、普段通りの生活を送っているようだった。学校が休みになるわけでもなく、女性たちは徒歩で子どもを授業に送り届けていた。サッカーの試合も予定どおり正午に開始されることになっていた。
「肌が焼かれるような暑さだ」。主婦のマリア・アンヘレス・ロペスは繁華街のマデロ公園に腰かけ、娘のアイタナをスプリンクラーの下で遊ばせていた。
「本当に不快で、絶望的な気分」。ロペスの家には3台のエアコンがあるが、暑い季節には電気代が高くなりがちなので、エアコンを使わないよう心がけているという。
メキシコでは最近、暑さの影響で停電が各地で報告されるようになっている。停電の影響は小規模食料品店の半数に及んでおり、要冷蔵・冷凍の食品が傷んでしまったという店はおよそ15%に上ると、メキシコ小規模小売店経営者協会は現地メディアに語っている。
首都のメキシコシティーでは、氷が不足し、一部のコンビニでは客1人あたりに販売できる氷の量に上限が設けられた。