「ゲーム依存の子」無理にやめさせることの大弊害 「ゲームは悪」と決めつけず親子で向き合うには

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親がゲームの中身を理解し、ルールを決めるには、子どもとの対話が必須だという。子どもが遊んでいるのがどんなゲームか知るのは、ルール作りの上でも欠かせない。「親だから」と子どもにポジショントークをしたのでは、「大人は分かってくれない」と、ますます子どもは心を閉ざしてしまうだろう。 

「ゲームは悪」と決めつけず、上手な付き合い方を

「ルールそのものよりも、話しあう過程が大事です。子どもがルール作りに参加し、ルールの必要性やそれを守ることの大切さを意識することで、『親から押さえつけられている』という不満はかなり軽減されるでしょう。そしてゴールは、子どもが自分の力でゲームの使用をコントロールすることです。むしろ親は、ルールは破られて当たり前くらいの心構えでいるのがよいでしょう。 

ゲームは面白く、ハマりやすいように作られています。そのプレイ時間を減らすのなら、その時間を埋める、楽しいことが必要です。目指すのは、『ゲームの楽しさは知っているけれど、現実世界の楽しさも知っている』こと。 

『ゲームの時間を減らす』というマインドセットではなく、家族旅行や習い事、スポーツ、友達と遊ぶ、恋愛などの『楽しいことの選択肢を増やす』ように誘導していくのもいいでしょう。中学で部活にハマって、ゲームの時間が減ったケースもあります」 

ゲームが学びになることも大いにある。より効率よくレベルアップするために計算したり、ロジカルに考えることは計算力や思考力を育てるだろう。『桃太郎電鉄』は地理を学べるし、『はじめてゲームプログラミング 』は、名前の通りプログラミングが学べるゲームだ。 

ゲームを買うときに、子どもに「いかにこのゲームが教育的か」をプレゼンしてもらっても面白いだろう。「ゲームは悪」と決めつけず、上手な付き合い方を探してほしい。 

【取材協力】近藤慶太医師。一般社団法人Dr.GAMES代表理事。「Dr.GAMES」はゲームニートから一念発起し医学部に進学して医師になった阿部智史氏や、eスポーツプレイヤーとしてアジア大会に出場するなど活躍したあと奈良県立医科大学に通う中澤有佐氏などが所属。その他ゲーム好きの医療従事者が集まっており、ゲームに没頭することが即“悪”ではないことを発信している。 

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