「ゲーム依存の子」無理にやめさせることの大弊害 「ゲームは悪」と決めつけず親子で向き合うには

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ではどうしたら「ゲームとうまく付き合う」ことができるのだろうか。 

ゲームと良好に付き合う4つのポイント 

近藤医師は、子どもがゲームと良好に付き合うために次のように指導しているという。 

(1)家族関係が良好であること 
(2)親が子どものゲームに興味を持つこと 
(3)子どもが自分の力でゲーム時間をコントロールすること 
(4)ゲームの時間を減らすのではなく、他の時間を増やすこと 

「子どもがネットやゲームの世界に逃げ込まなければいけなかった理由があるかもしれません。そんなときに、家族が一番の相談相手であることが理想です。従って家族関係が良好ではないときは、そこをまず調整する必要があります。家庭の問題は一概には言えませんが、家族で解決しなければ第三者を入れるのも有効です」 

子どもとの会話を増やすには、親がまず子どもに歩み寄ることだという。自分の好きなものに親が興味を持ってくれたら嬉しいもの。近藤医師が子どもの患者と関わる場合、相手の好きなものを話してもらい、次の診察までにそれを試しておく(もちろん就業時間外にだ)。 

それが例え自分の不得意なゲームであっても、会話ができる程度にはプレイするという。こうして大人から自分を理解し、歩み寄ってきてくれたら、子どもはどんなに嬉しいだろうか。また、親が子どもの遊んでいるゲームを知ることも大事だという。ゲームのよりよいやめ時は、ゲームの種類によって異なるからだ。 

「『マインクラフト』や『どうぶつの森』などは、プレイ中に一段落つけるのが難しいので、時間で区切るのが適切かなと思います。 

『スプラトゥーン』や『APEX』といった、オンラインでチーム戦をするようなゲームの場合、試合途中にゲームから離脱すると仲間に迷惑がかかってしまいます。こうしたゲームは『1日何試合』というようなゲームの状態を区切りにするのがよいでしょう」 

冒頭のAくん(時間を守らなかったため、親がゲームの電源をプツリと切ると、怒り狂って暴れ出した少年)がプレイしていたのは、「APEX」というゲームだった。 

「チームで戦っていて、もうすぐ勝利、という時に電源を切られ、残った仲間は不利な状態で戦わなくてはいけなくなってしまいました。Aくんが怒ったのは、ゲームを中断させられたというよりは『仲間に迷惑をかけることになった』からだったのです」 

次ページ「ルールそのものより、話し合う過程が大事」 
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