不動産投資「利回り5%以下」は破綻まっしぐら プロが「危険」と口を揃える5つの理由

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高値でワンルームを購入すると当然ながら利回りは低く、手元に現金は残らない。それでも不動産を所有していればそれを担保に次の融資を受けられる、だからとにかく一軒目をと考える人がいるが、それは幻想。大家さん専門税理士の渡邊浩滋氏はワンルームの場合、所有していることが逆に銀行のマイナス評価につながるという。

「ワンルームの場合、土地の持ち分は少なく、大半は建物分。そもそも評価が低く、さらに古くなるとさらに下がる。もちろん、渋谷区や目黒区の駅近物件のように下がらないワンルームもありますが、そうした物件は希少。ワンルームを所有していることがネックとなり、次を買いたいと思っても銀行から融資が受けられなくなります」。

個人のワンルーム市場参入自体に陰り

それにそもそも、個人がオーナーとしてワンルーム市場に参入すること自体に陰りが見えてきている。いくつか理由がある。

1つはコロナで収益に不安を覚えた企業が今後、何かあった時のために安定収入を確保しようと事業再構築補助金などを利用、不動産投資を積極的に行っていることだ。彼らは収益より安定を求めるため、2億円で5%回る物件より、20億円で4%、100億円で3%回る物件と金額、入る家賃の大きな物件を好んで取得。空室を作るより、多少収益、つまり家賃を下げてでも満室を目指す。

それに対して個人オーナーは規模の小さい物件でより大きな収益を目指して少しでも高めをと考えて賃料設定をする。借りる側からすれば規模が大きく、エントランスなども立派で賃料設定も安めな企業保有物件を選ぶのは当然だろう。

しかも、コロナを受けて規模の大きな物件の中にはワークスペース、ラウンジ、憩いの場となる屋上などプラスαの共用部分を設けたものも増えており、企業保有、個人保有の物件の差は開く一方である。

ワンルームは学生、若手の社会人を主なターゲットとしているが、人口が減少する中、大学、企業は彼らを囲い込もうと寮、社宅などを増やしているのも個人投資家にとっては逆風の1つ。

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