再開発で移転「Bunkamura」映画館の新たな挑戦 7月には初の配給作品「大いなる自由」も上映

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――『大いなる自由』は、男性同性愛を禁ずる刑法175条が戦後ドイツで施行されていたということが描かれており、こんな事実があったのかと驚かされるような内容でしたが、どういった経緯でこの作品の配給を行うことになったのでしょうか?

野口: 2021年のカンヌ映画祭自体は開催されていたのですが、(コロナ禍のため渡仏するのは)まだ早いかなというところで、スタッフ4人でバーチャルで参加し、そこで出会ったのが『大いなる自由』でした。

2021年カンヌ国際映画祭ある視点部⾨審査員賞を受賞した『大いなる自由』がBunkamuraの初配給作品となる(©2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions)

以前、ル・シネマで『希望の灯り』という(本作主演の)フランツ・ロゴフスキの作品をやっていたこともあり。いい作品だなと心に残り続けていたのですが、そのときはなかなかこの作品を買う配給さんがいなかった。

それが去年の7月にレインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜で上映されることになり。それで今度は字幕がついた状況であらためてスクリーンで観たのですが、やはりいい作品だなと思ったんです。

Twitterでの反応もよかった

それでお客さまの反応をTwitterで調べたところ、それもよかったんです。新しい映画館をつくるというときに、オープニングこそ旧作(「マギー・チャン レトロスペクティブ」「ミュージカル映画特集 『ミュージカルが好きだから』」)でスタートしましたが、やはり新作もやりたい。あとは独自性というか、わたしたちが選んだ作品を出したいということもあり、この作品がいいのではということで、権利元と相談しました。

ヨーロッパの権利元も、Bunkamuraのことを知っていてくれていて。Bunkamuraの初配給作品だったら大切に上映してくれそうだということで、作品を預けてくれたという感じです。

中村:ちょうどその前、コロナがピークだった時期に浅倉の発案で配信(ル・シネマのセカンドラインとしてオープンしたオンライン映画館「APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA」)を始めていたんです。コロナになった直後に会社から新しいことをやってみたらと言われたこともありまして。自分たちで動き出して、配給を始めたというのも、そういう前段階があったからだとも思います。

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