クラウンと競合?「408」が映すプジョーの新世界 400万円台からのフランス流クロスオーバー

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ステランティスグループの中には、走行中にバッテリーへの充電ができないPHEVシステムもあるが、408は(姉妹車といえる)シトロエン「C5 X」同様、ドライブモードを切り替えることでバッテリーへの充電も行える。

私が乗ったのは、PHEVの「408 GT HYBRID」。加速がよく、フットワークも軽く、プレミアムサイズのセダンへの期待以上の“ファン”があるモデルだ。

e-EAT8と呼ばれる8速ATと組み合わされるハイブリッドパワートレイン(写真:Stellantis ジャパン)

250Nmの最大トルクを持つエンジンに、320Nmの電気モーターが組み合わせてある。発進時も高速での追い越し時も、どんなときでもすばやい加速を味わわせてくれる。

常にバッテリーへの充電が行われる「eセーブ」モードを選んでいると、そっちにもパワーが割かれるのがわかるが、それ以外の「スポーツ」「ノーマル」「エコ」では、どのモードでも気持のいい加速が味わえる。

1970年代のプジョーを思い出す

サスペンションの設定については、やや好みが分かれるところ。他社との差別化といえなくもないが、ややラバリー(つまりゴムっぽく)に感じた。

どこまでゴムブッシュの特徴が出ているのかはよくわからないけれど、弾むような独特な反発力が、そこはかとなくハンドルを握る手に伝わってくるのだ。

PHEVならではのスムーズで快適な走行性能が味わえる(写真:Stellantis ジャパン)

でも、それがイヤかというと、私はまったくイヤじゃない。自分が1970年代のシトロエン車やプジョー車に親しんできたせいだろうか。こういう味付けがあってもいいと思う。

決して剛性感がないわけでなく、頼りない感じもまったくしない。この年代のプジョーはそこがうまいところで、それでいてフワリフワリと心地よかった。

昔の話をしつこくしても意味がないのだけれど、細いコードのようなものを踏み越えるときのショックの“いなし方”が、他社に抜きんでてうまかったのを思い出したのだ。

試乗車のタイヤはミシュラン。サイズは205/55R19(写真:Stellantis ジャパン)

今それがうまいのは、シトロエンのほう。かつてのPSAグループでは、シトロエンが快適、DSがラグジュアリー、そしてプジョーがスポーティと、キャラクターのすみ分けがなされていた。

話を新型408に戻すと、このクルマの乗り味はなかなかおもしろい。ドイツ車に飽きていたら、試してみるといいと思う。

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