LMにGX…「新車連発」に見るレクサスの方針転換 自らの首を締めていた「決まり事」からの脱却
トヨタが展開するプレミアムブランドのレクサスは、最近になって国内で発売する新型車を次々と公表している。
2023年4月18日にはLサイズミニバンの「LM」、6月5日にはコンパクトSUVの「LBX」、6月9日には悪路向けSUVの「GX」という具合だ。
これらのうち、LMとGXは以前から海外専用車として売られていたが、日本では新たな車種になる。従来型のフルモデルチェンジではないから、LM、GX、LBXの3モデルが加わると、販売する車種の数が増える。
車種を増やした一番の理由は、レクサス全体の販売台数を増やすためだ。2022年におけるレクサスの国内登録台数は、コロナ禍の影響もあり4万1252台であった。
メルセデス・ベンツは5万2391台だから、プレミアムブランドとして1万台以上の差をつけられたことになる。BMWも3万887台を登録しているから、レクサスは安穏としていられない。
セダン/クーペからスタートした理由
もともと日本のレクサスは、先のメルセデス・ベンツやBMWをはじめとした輸入プレミアムブランドへの対抗策として、2005年に発足した。
海外の高級車市場を攻めるために、1989年に北米でレクサスブランドをスタートしたときとは、目的が本質的に異なる。国内の高級車市場を輸入車から守るためにも、メルセデス・ベンツには負けられない。
そして、今はセダンの販売が低迷し、SUVが伸びている。メルセデス・ベンツやBMWもSUVのラインナップを増やし、各モデルとも好調だ。そこで、レクサスもコンパクトSUVのLBXと、悪路向けで存在感の強いGXを加えるというわけだ。
さらに、国内ではLサイズミニバンの「アルファード」も絶大な人気を得ているから、そのレクサス版となるLMも国内へ導入し、ミニバン市場でもトップを取りにいく。
この対応は、日本でレクサスが開業した2005年ごろとは、大きく異なる。なぜなら、日本で開業した当時のレクサスは、非公式ではあったが「国内で扱う車種はセダンとクーペだけで、海外でラインナップするSUVなどは導入しない」としていたからだ。
この背景には「セダンとクーペは上品だからプレミアムブランドにふさわしいが、SUVは野性的で親和性が低い」という見方もあっただろう。このほかにも、レクサスにはさまざまな決まり事(通称:レクサスマスト)が見られた。
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