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ウクライナが求める「平和の公式」という停戦条件 開戦から1年半、和平交渉のために必要なこと

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6月30日にワシントンポスト紙が伝えたところによると、ゼレンスキー大統領はバーンズ・アメリカCIA長官に対し、反転攻勢を進めてクリミアの境界線付近に重火器を移動し、クリミアの将来的な地位を交渉対象とすることを示唆したという。この報道が事実なら、クリミアの奪還が実現されずとも、停戦交渉を開始することはありうるとウクライナが見なしていることになる。

しかし、この報道が出た翌日の7月1日、ゼレンスキー大統領は「クリミアの奪還は停戦交渉入りの条件である」と述べている。こうした食い違いは、「平和の公式」で打ち出した「ロシア軍の撤退」や「ウクライナの領土一体性」等の条件の厳密な解釈をめぐり、ウクライナ内部でも見解の相違が存在することを示唆している。そして繰り返しとなるが、この現実的な着地点は、反転攻勢の成否に左右されざるを得ない。

課題はG7やEU諸国以外の理解と支持

今年5月に開催されたG7広島サミットで採択された「ウクライナに関するG7首脳声明」で、G7が「平和の公式」を支持することが確認された。このことが示すとおり、「平和の公式」の大枠は、G7やEU諸国等からはすでに一定の理解と支持を得ている。しかし、それ以外の諸国においては「平和の公式」が十分に知られていないのが現実である。

このためウクライナは、この「平和の公式」への理解を、G7やEU諸国を超えて広めていくための取り組みを極めて重視している。G7広島サミットに対面参加したゼレンスキー大統領の重要な成果の一つは、「招待国」として参加していたインドのモディ首相に対して「平和の公式」を説明し、理解を求める機会が得られたことだったとされる。

ウクライナ政府はこのゼレンスキー・モディ会談での感触を元に、インドの支持をより得やすくするために「平和の公式」の微調整作業を検討しているとの報道もある。

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【苦戦する「平和の公式」外交】

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