日本の「半導体検査装置」に訪れる生成AIブーム 生成AIで必須のGPUを支えるアドバンテスト
顧客層は競合のテラダインとは異なっており、「GPUに限ればほぼ独占に近い状況」(アドバンテスト)。エヌビディアとも、1990年代の同社の創業時から取引があったようだ。
エヌビディアは半導体の企画・設計に特化し生産工場(ファブ)を持たないファブレス企業だ。そのため、アドバンテストが実際に多くのテスタを販売するのは、台湾のTSMCに代表される半導体の製造受託を行うファウンドリーになる。
とはいえ、どういったテストを行うかの仕様を決めるのは、半導体の企画・設計をしているファブレス企業。試作段階で使っていたテスタを量産段階で変更することはめったにないため、ファウンドリーがどのメーカーのどのテスタを選ぶかには、ファブレス企業の意向が大きく反映されるという。
半導体メーカーにとって、検査装置は一度使い始めると他社製のものに切り替えるリスクは大きい。そのためAI向けのGPUでエヌビディアの引き合いが強まるほど、アドバンテストもそのまま恩恵を受けるという構図だ。
さらに、テスタでそれぞれ試験する必要があるコア(演算回路)の数は、スマホなどに搭載されているCPU(中央演算処理装置)とGPUでは桁違いになる。CPUは数個〜数十個レベルなのに対し、データセンターでAI処理を行うGPUは数千〜1万超。それだけ、テスタの需要も大きくなる。
2011年の同業買収が転機に
アドバンテストの創業は1954年。当初は微少電流の測定機器を手がけていたが、1970年代から半導体テスタを製造するようになり1983年に上場した。
半導体需要の拡大とともに業績を伸ばしたが、2008年度にはリーマンショックでの需要の低迷によって上場来最大の749億円の最終赤字に転落した。当時、全従業員のおよそ3割にあたる1200人を募集する希望退職を実施している。
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