茨城発のカフェ「サザコーヒー」が東京でウケる訳 地元食材をメニューに反映、コーヒーの質に磨き

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サザコーヒーは大学への出店にも積極的で、これまで茨城大学と筑波大学に出店してきた。大学キャンパス内にカフェが出店し始めたのは2000年代後半からで、同時期に筑波大学にスターバックス、東海大学にドトールコーヒーショップなどが出店した。

サザコーヒーが出店した東京農大は、太郎社長の母校でもある。飲食店は「お付き合いで出店するとうまくいかない」とされるが、どんな計画で店をオープンさせたのか。

「母校と食べ物でつなぎ、農業と6次産業(=1次産業の農林水産業×2次産業の製造業×3次産業の小売業等)を加速させたい思いからです。ぼくは大学在学中に果樹園芸学を専攻し、数年前には指導してくれた恩師をコロンビアにある自社農園に招待して、コーヒー苗木と栽培の様子を見てもらいました。今回、秘かに温めていた思いを実現できたのです」

東京農大店の開業レセプションで、あいさつをする鈴木太郎社長(筆者撮影)

大学内の飲食店では、値段を下げて「学生価格」にする例も多いが、そうはしない。「本日のコーヒー(ホット)やアイスコーヒーは共に520円(税込み、以下同)」。希少価値のコーヒーは「エスメラルダマリオ3000円、ゲイシャハンター1000円」もする。

実は太郎氏は、早くから高級豆「ゲイシャ」の魅力にとりつかれ、十数年にわたりゲイシャ豆を購入してきた。近年はオークションで価格が高騰したが、落札を続けている。コーヒー豆の国際品評会「ベスト・オブ・パナマ」などで国際審査員としても活動する。

新工場や出店に充てるため約10億円を借り入れたが、「工場新設や焙煎機などの機械、什器等の購入資金に充てたので、今後は卸などの売上拡大につなげて資金回収を図っていきます」と太郎社長は言う。

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