要はメタ認知が容易にできたり、合理的に行動できたり、自分自身に寛容になれたりしやすくなります。自信や自己肯定感、自制心、主体性、計画性などの非認知能力が備わっているから、実生活でどんな障害が現れても、果敢に向き合って乗り越えられるというわけです。
大脳辺縁系へのアプローチで人生も好転
ではいったいなぜ、記憶力を鍛えることでそのような「心に関する能力」まで自動的に向上しやすくなるのでしょうか。
その理由はシンプルです。「感情」が生まれるのは脳の中の「大脳辺縁系」にある「扁桃体」です。この扁桃体のすぐ近くに、記憶の司令塔「海馬」があります。
扁桃体で感情が生まれると、それに刺激を受けた海馬は記憶を強化する(短期記憶を長期記憶にする)という仕組みがあります。さらに、この一帯には「側坐核」というやる気を生み出す場所も存在しています。
記憶力が向上するということは、「海馬」「扁桃体」「側坐核」などを擁する「大脳辺縁系」のコントロールが上手になる、ということと同義です。
一方、非認知能力やEQなどの「心に関する能力」(=感情を制御する能力)は、「大脳辺縁系」(感情を生み出すエリア)と「前頭前野」(理性を司るエリア)の連携に深く関係しています。
つまり記憶のために使われる脳の部位と、感情をコントロールするために使われる脳の部位は、多くの部分が重複しています。
したがって、記憶力を鍛えることで非認知能力もEQもアップしやすくなるというわけです。
「物事を記憶すること」は、最終的な目的ではありません。
あらゆる能力を高め、目標や夢を実現していくための手段の1つに過ぎないのです。
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