西欧諸国につきまとう「植民地支配」賠償の悪夢 アジア、アフリカ諸国からの賠償要求は今後も続く

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個々の事例は別として、19世紀から本格化していった西欧諸国による帝国主義的戦略によって、アジア・アフリカ各地は相次いで植民地となっていった。その最初の例はカリブ海地域だ。

2013年にカリブ共同体(CARICOM、カリコム)はスペインやポルトガル、イギリス、フランス、オランダに対し賠償請求をしている。CARICOMはカリブ地域の14カ国1地域が加盟しており、域内の経済統合や加盟国間の外交政策の調整などを行っている協議体だ。

植民地の西欧諸国への従属関係は、今ではより巧妙なものとなっている。先進資本主義国は植民地であろうと、独立していようと大量に資本を貸し付けている。とりわけドルが基軸通貨であり、ドルによる借款はこうした国々にとって頭の痛い問題だ。経済発展のために借りた西欧資本によって、次第にこれらの国々が借金地獄に陥っていくのだ。

今でも生きるローザ・ルクセンブルクの分析

19世紀前半にすでに独立していったメキシコなどの諸国は、この借金に苦しめられた。原料基地、燃料基地、低賃金労働基地として位置づけられたこうした国は、近代的産業が発展せず、ひたすら西欧から商品を購入して、原料、燃料ときに労働を西欧に売ることで経済を運営してきた。

ドル不足、ポンド不足が起こると、それを埋めるためにまた借りるのである。そうすると雪だるま式に借金は増え、それを逃れるために、革命あるいは国家破綻をする。しかし、そうなるとそのたびに西欧は、軍を送り込み、国家を支配するようになる。 

この問題でもっとも大きな貢献をした経済学の書物は、ポーランド出身のマルクス主義者だったローザ・ルクセンブルク(1871~1919年)の『資本蓄積論』である。この書物は1913年に出版され、西欧がいかに西欧以外の非資本主義地域の人々から搾り取っているかということを、経済学的に展開したものである。

出版されるやいなや、あちこちから批判が殺到した。それは当然である。西欧社会の資本家ばかりでなく、その労働者も含む西欧人すべてが植民地から搾取しているというのだから。

しかし、この書物は資本主義の生産の矛盾を抉ったという点では白眉である。資本主義は、一方で植民地のような非資本主義がないと成り立たないシステムであり、また一方で、非資本主義地域を資本主義化しないと成り立たないシステムだというのだ。

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