西欧諸国につきまとう「植民地支配」賠償の悪夢 アジア、アフリカ諸国からの賠償要求は今後も続く

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2023年6月中旬、南アフリカのラマポーザ大統領やアフリカ連合(AU)を中心とするアフリカの国々が、ウクライナのゼレンスキー大統領のもとを訪問した。その理由は、彼らはアフリカ諸国としてウクライナ戦争の終結を求める平和交渉だった。しかし、訪問を受け入れたゼレンスキーは、彼らは小麦の物乞いに来たのかと一蹴したという。

これに怒ったのか、先日パリで行われた途上国支援や気候変動対策を話し合う首脳会議の場で、南アフリカの大統領は居並ぶ西欧先進国の面々を前にして「私たちは乞食ではない、同じ人間として遇してくれ」と述べ、アフリカへの差別を再度厳しく批判した。

「私たちは乞食ではない」

インドがダイヤモンドの問題にこだわったのも、同じ理由からだ。旧宗主国のイギリスに対して、インドの怒りはいまだ収まったわけでない。イギリスが植民地時代にどれほどインドを搾取したのか、外務大臣ジャイシャンカルはイギリスの首相に何度も問い詰めている。

こうした問題については、1998年7月17日に国際刑事裁判所の設立という提案が採択された「ローマ規定」の7条「人道に対する罪」の規定が、今も生きている。旧植民地問題は、その国が独立したからといって終わったわけではない。

2001年8月31日から9月8日まで南アフリカのダーバンで、国連主催で開催された「人種主義、人種差別、排外主義および関連する不寛容に反対する世界会議」(ダーバン会議)で採択された「宣言」でこう記されている。

「第14項 植民地主義が人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容をもたらし、アフリカ人とアフリカ系人民、アジア人とアジア系人民、および先住民族は植民地主義の被害者であったし、いまなおその帰結の被害者であり続けていることを認める」(小倉英敬『「植民地主義論」再考』揺籃社、2017年、7ページ)

 

このダーバン会議の後、旧植民地の国々は、かつての宗主国に対して賠償請求を出し始めた。その額がいくらになるのかの算定は確かに難しい。しかし、奪われたものを求める運動は今後もやむことはあるまい。ちなみにインドのモディ首相は2023年6月にアメリカを訪れ、バイデン大統領と会談した際、インドから奪われた美術品の返還を約束されたようである。

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