ウクライナ戦争を止められない政治家の本質 選挙で政治家を選ぶだけが民主主義ではない理由
2023年3月になった今も、ウクライナでの戦争は終わる気配を見せない。西側政府もロシアも、ウクライナも停戦合意を求めて何らかの妥協を行う気すらまったくないようだ。
すでにアメリカがウクライナに対して行っている武器関連供出額は、10兆円を超えている。アメリカでは最近、銀行のクラッシュが起き、国民の税金を他国に使っていることへの批判がますます増大しているが、為政者はそれでもやめる気もなさそうだ。
為政者が停戦に耳を傾けない理由
それは、フランスやイギリスについても同じだ。2023年2月、3月と各地でロシアに対する制裁の結果起こった厳しいインフレに対する批判のストライキが起こった。それにもかかわらず、為政者は停戦に耳を傾けない。ロシアやウクライナでも戦争の被害と社会におけるその大きな打撃に対する懸念が批判を生み出しているが、そこでも為政者は聞く耳をもたない。
いったい世界はどうなってしまったのか。政治は民衆の平和と安寧のために存在しなければならないのに、なぜ為政者は戦争を止めようとしないのか。宗教、政治、経済、さまざまな原因が戦争にはあるが、そもそも戦争の当事者たる政治家たちこそが大きな原因をなしているともいえる。
社会科学は社会の制度を扱う学問だが、そこで前提にされている人間はある意味、無味乾燥な人間一般という人間だ。社会科学は、人間の個別的性格についてはあまり議論してこなかった。しかし、19世紀末の心理学の発展が人間の性格を重要な要素として次第に問題にし始めた。こうして、支配する人間によって社会制度は大きな影響を受けうるという問題が出てきたのである。
最近、筆者が読んだ本でとても興味深い本があったのでここに紹介したい。それはフランスのスタニスラ・ベルトンの書いた全3巻のエッセーで『人間と都市』(L’Homme et la cité, Le Temps Retrouve,2021)だ。とりわけその第2巻は、戦争が政治家の性格によるところ大だと述べている。
その中で、2冊の興味深い本が紹介されている。1つは『超限戦』(原題はUnrestricted Warfare、Shadow Lawn Press、2004、喬良、王湘穂著、坂井臣之助監修、劉琦訳、KADOKAWA、2020年)、もう1つはアンドリュー・ロバチェフスキーの『政治的悪の心理学』(Political Ponerology: A Science on the Nature of Evil Adjusted for Political Purposes、Redpill Press、2007)である。
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