ついに薬局で買える「緊急避妊薬」どうなる? 性交渉後72時間以内の服用で「妊娠を回避」
ピルには副作用も報告されている。代表格は血栓症だろう。血液が血管の中で固まり、血液の流れが阻害された状態だ。エチニルエストラジオールによるものとわかってきた。
動脈で血栓ができると、脳梗塞や心筋梗塞などを起こす。ただ、ピルではどちらかと言えば静脈血栓症が起きやすい。足の静脈で血の塊ができると、流れ着いた先の肺の血管が詰まることがある。突然、呼吸できなくなり、死に至ることもある。そのほか、脳の静脈に血栓ができると脳の血流がうっ滞し、やはり脳梗塞のような状態となり、死亡例も報告されている。
ただし、こうした重篤な合併症は、極めて稀だ。前触れとなる症状を感じたらすぐに薬剤を中止すれば、悪化を防げる。もちろんプロゲステロンのみのピルやアフターピルでは、血栓症の心配はない。
また、子宮頸がんも、ピル服用で発症リスクが上がると報告されている。ただし、子宮頸がんはHPVワクチン接種によって高い割合で予防が可能だ。定期検診の有効性も確認されているので、2年に1回頸がん検診を受ければいい。
妊娠可能年齢の女性が決めるべき
「妊娠を避ける権利」は、女性の自己決定権として保障されるべきだ。その点で、厚生労働省の検討会は男性委員がほとんどだし、閉経後の女性の意見よりも、当事者である妊娠可能年齢の女性の意見が最も尊重されるべきだ。
だが、その権利を追求する体制が、今の日本には整っていない。その結果、女性たちの身体がキケンにさらされる現実がある。
例えばアフターピルは、東南アジアなどでは自由に安価で売られているので、海外旅行のついでに大量に買ってきて転売する人もいる。ソーシャルメディアで募集して、駅前でアフターピルを引き渡す、といった具合に買えることが知られている。
素性もわからない人から買った薬を飲むなどもってのほか、危険極まりない行為だ。ただのニセ薬で無害の成分ならまだしも、有害な成分が含まれている可能性すらある。薬が本物かどうかは、舐めても匂いを嗅いでもわからないため、供給ルートを信用するしかない。
そのような状況を黙認し、アクセスをよくしようと積極的に取り組まない不作為は、国民の命を守る厚生労働省として、あってはならない。
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