EUがポルトガル支援だが、債務危機は収束せず

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ポルトガルが4月6日、欧州連合(EU)に金融支援を要請した。ユーロ圏でEUと国際通貨基金(IMF)の支援下に入るのはギリシャ、アイルランドに次ぎ3番目となる。翌日の欧州中央銀行(ECB)による、2008年7月以来の政策金利引き上げ(1%→1・25%)と同様、金融市場には織り込み済み。が、これで欧州債務危機が終わるわけではない。

まず、ポルトガル支援の行方自体にリスクがある。今回支援要請したのは、6月5日の総選挙までの暫定政権。総選挙では野党勢力への政権交代が確実視されており、こうした政治空白期に金融支援の前提となる財政再建策をまとめられるかは不透明だ。

同国の支援要請は、政府が3月半ばに示した追加財政緊縮策に野党側が反対決議案を提出し、ソクラテス首相が辞任に追い込まれたことで決定的となった。EUやIMFとの支援交渉では、政府案以上の緊縮が要求されるのは必至。交渉が難航すれば、6月15日の国債大量償還をめぐって、不安が再燃しかねない。

そして最大の焦点がユーロ圏4位の経済規模を持つスペインへの波及だ。政府債務比率が相対的に低く、国債利回りは5%台前半。危機の分水嶺とされる7~8%までは余裕がある。ただドイツ国債との利回り差が2%近くに拡大したままなのは、市場の懸念が払拭できていない証左だ。

同国の財政不安の背景には、住宅バブル崩壊で「カハ」と呼ばれる、地方の貯蓄銀行が多額の不良債権を抱えていることがある。

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