EUがポルトガル支援だが、債務危機は収束せず

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スペイン中央銀行は2月、貯蓄銀行の不動産関連投融資残高が2170億ユーロで、うち名目GDP比10%弱に上る1000億ユーロが潜在的な問題資産と概算した。住宅価格調整は他国より遅れている。銀行の資産劣化は道半ばで公的支援がどこまで膨らむかは未知数。失業率が約20%と高い中での緊縮策に対し大規模デモも続く。

さらにはギリシャでも、債務再編(投資家負担)は不可避と読む専門家が多い。EUの金融支援はあくまで利子付きの融資で、債務累増は続くためである。インフレ警戒を強めるECBが利上げを継続すれば、緊縮財政下にある周辺国への景気下押し圧力は一段と強まる。ユーロ圏波乱の火種はくすぶったままだ。

(中村 稔 =週刊東洋経済2011年4月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

photo:Eric Chan CC-BY2.0
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