東大生実践「試験直前に鏡を見る」ナルホドな理由 どんなに頭がいい人でもテスト前は緊張する

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岡山大学准教授で非認知能力の研究をしている中山芳一先生は、この「メタ認知能力」について次のように述べています。

物事をメタ的に見ることができるというのは、将棋を想像するとわかりやすい。将棋は相手の王将を取るためにコマを動かしていくというゲームだが、メタ認知があまりできない人は、コマの目線になってしまう。自分の身体を前に進めるように、「歩」を前に出し、「王」を後ろに下げる。
 
でも、メタ認知ができる人は、コマを動かす棋士の目線で物事を動かせる。盤面を上から見て、「ここの守りが薄いからここに『歩』を置こう」と考えることができる。コマとして盤面で戦うのではなく、棋士として盤面を上から見て考えられるかどうかが、メタ認知の鍵になる。

中山先生の言うとおり、テストではまさにこの「棋士の目線」が求められることがあります。

目の前の問題を解きながらも、残り時間を意識して、残りの問題数を確認し、時には目の前の問題を放棄する選択を取る。まさに盤面を見てコマを動かすように自分の身体を動かすことが求められるわけです。

メタ認知は多くの物事の成功の鍵に

またテスト以外でも、このメタ認知が求められることは多いでしょう。相手の顔色を伺いながら自分のやるべき行動をし、状況を確認しながら物事を選択していく。こういったメタ的に自分の身体を動かす行為は、多くの物事の成功の鍵になっていると言えるでしょう。

そしてそのときに、鏡で自分の身体を見ることは非常に有効な手段になります。

自分のことを客観的に認知することで、「このコマ(=自分)をどのように動かして、テストでいい点を取ろうか?」「目標を達成するために、このコマ(=自分)をうまく動かそう」という意識を持つことができるわけですね。

いかがでしょうか?「本番前に鏡を見て自分を客観視する」というのは本当におすすめです。みなさんぜひやってみてください。

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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