霞が関人事に激震!財務省が「次官総なめ」の深層 復興、人事院、公取委トップまでポスト大量獲得
霞が関の次官・次官級の数ではチャンピオンとなった財務省。この隆盛ぶりを彷彿とさせるのが、2017年夏の人事異動で旧自治省出身者が次官や有力ポストを多数獲得したことだ。
旧自治省・旧郵政省・旧総務庁で原則として順繰りのはずの総務省次官ポストが、佐藤文俊氏(自治省1979年入省)から安田充氏(同1981年)へと、旧自治省官僚でリレーしたうえ、内閣府次官に河内隆氏(同1982年)、復興次官に関博之氏(同1981年)が就いたのだ。安田氏と河内氏は菅義偉官房長官(当時)の信頼が厚かったこと、関氏は内閣府出向時代に沖縄問題に尽力したことが時の官邸幹部に評価されての功労人事だった。
さらに、同年は官邸での有力ポストである総務官室審議官ポストを旧建設省(国交省)との競り合いの末に奪取したことも、旧自治省の勢いを印象付けた。
次官大量獲得は「嫉妬のもと」
ただし、当時から旧自治省には「目立ちすぎるといずれ嫉妬を買って、ポストを失う」という懸念もあった。同時期、財務省の中でも「旧自治省が次官ポストを取りすぎている」という問題意識が芽生え、今日の次官ポスト大量獲得に至る一連の人事活動につながったようだ。
旧自治省の懸念が現実になったのが岸田政権発足後だった。安倍政権・菅政権では、かつて総務相を務めた菅氏の影響力があり、有力ポストを多数取れた。しかし、岸田政権になると官邸の旧自治省への評価は下がり、2022年の人事異動では希望した有力ポストを取れなかった。
今回、次官ポストでは隆盛を極めた財務省だが、「最強官庁」と呼ばれた面影は薄い。岸田政権が2022年末、防衛財源で復興特別所得税の一部を財源に転用する案を打ち出し、世論から不評を買った。
さらに、今年6月には、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で少子化対策の財源論を「社会全体でどう支えるかさらに検討する」というあいまいな言葉で先送りした。世論の反発を受けたのは政権だが、失態をさらしてしまった責任は財務省にもある。
数字の帳尻合わせや、目先の人気取りにとらわれず、壮大な国家論を持って政権の財政政策をサポートするのが財務省の役割のはずだったが、この2つの事例では力不足ぶりをさらけ出した。今後も財務省が本来業務での存在感を示さなければ、一連の次官人事も「つまらない猟官争い」と冷笑を浴びてしまうだろう。
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