エリート官僚「過度な忖度」に走った2つの決定打 アベノミクス導入も経済成長を妨げた日本の失敗
達成できなかった「物価上昇率2%」
アベノミクスの問題点の1つは、金利政策の、日本経済に与える影響度合いが低下してきている点を軽く見たことではないだろうか。
例えば、「公定歩合」である。公定歩合は、日銀が民間金融機関に融資する場合の基準金利である。中央銀行としての政策スタンスであり、強力なシグナルだ。従来は、円の金利体系を決める金融政策の柱であったが、預金金利の自由化は、1994(平成6)年10月に完了している。そのため、公定歩合と市場金利は直接には連動しなくなっていたし、バブルが弾けて企業の資金需要が低下し、金融機関への依存度が低下していた中では、多少金利を低めに誘導しても経済全体に与えるインパクトは小さくなっていた。
バブル時代には、預金で集めた資金の80%以上は貸し出しに回せていた。企業は資金さえあればどんどん成長できたから、借り手には事欠かなかった。しかし、その後のデフレ下で企業の資金需要が低下すると、貸し出しに回す比率は60%を下回るようになる。そのような状況では、金利政策の影響度合いも低下せざるをえない。
にもかかわらず、「異次元の金融緩和」として公定歩合を下げ、最後はマイナス金利まで導入した。その効果が限定的だったのは、当然といえば当然である。
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