貫地谷しほり「いい子にしてきた20代」への後悔 30代に入ってからの悩み、仕事や人生観の変化

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――ご自身の生活と重ねて考えたことや感じたこともありましたか?

母を見ていて思ったのは、母自身が祖母の変わっていく姿を受け入れるのが簡単ではなく、とても時間がかかったこと。それが自分を苦しめるし、介護されるほうもつらいかもしれないと思うこともあります。介護に一生懸命になればなるほど余計にその思いが強くなってしまうのだなと。

(c)2022「オレンジ・ランプ」製作委員会

真央さんがどうやってそこを乗り越えたのか、どういう心持ちで旦那さんを受け入れていたのかはわかりませんが、うまく心のなかで方向転換できるような自分でいることが大事なんだと感じました。

ファンタジーのようなできすぎた現実の話

――真央を演じて学んだこともありますか?

同じ状況になったときに、自分はこうできるだろうかとすごく考えました。はじめは、こんなに周りのみんながいい人たちで、出会う人みんなに支えられる境遇ってファンタジーだと思ったんです。実話をもとにしているのは知っていましたが、理想的すぎてとてもリアルには思えなくて。

でも、本作主人公のモデルである丹野智文さんが、完成した映画を見て「自分の人生そのまま」と号泣されたんです。そこで、本当にこういう世界があるんだということを実感できて、うれしくなったというか、自信になったというか。

実際にこんな人たちがいるということが、私自身の心の支えになりました。こういう心温まる世界が現実にあることを多くの人に見ていただきたいです。

――たしかにみんなが幸せになる、できすぎたハッピーエンドにも見えますね。

時代劇だと普遍的な愛を伝えやすいセオリーがあったりするんですけど、現代劇のハッピーエンドっていまの時代的にはむずがゆく感じられてしまったりして、描き方が難しい。でも、これは実際にあった物語ということがそこを支えてくれています。すべて現実であることがこの映画を成り立たせています。

――真央を演じるうえで大切にしていたことを教えてください。

“いいこと”を言うセリフが多かったので、あまりにもいい人すぎるように見えないように気をつけていました(笑)。むずがゆくなってしまうくらいのいいシーンがあって、私の照れがあったのかもしれないですけど、これが現実かとも疑っていたので(笑)。でも、ファンタジーではなくて、現実がこうあってほしいと願いながら演じていました。

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