「美人すぎる議員」が次々に誕生するカラクリ

玉石が入り混じる中、ホンモノは誰か

今回の地方選は松田氏にとって、自らが結成した日本を元気にする会としての最初の選挙である。次期参院選をにらんでの最重要選挙ともいえるため、松田氏が北区の区議選で賭けた思いは並々ならぬものがあった。

東京都内の選挙事情に詳しい政界通からは次のような解説も聞かれた。

「北区に注目したのは正解だった。北区には日本を元気にする会所属の音喜多駿都議がいる。また北区は衆院の小選挙区では東京12区に入り、かつては八代英太氏が衆院で議席を持っていた。八代氏は下半身不随で車椅子を使用しており、障害者を応援する素地のある地域だといってよい。そこに聴覚障害を持ち、31歳で華やかな容姿の斎藤氏を立てる、という計算はよくできている」

公職選挙法が地方議員の選挙中の文書図画の頒布掲示を違法としていることが「聴覚障害者にとって不利ではないか」と問題視されたことも、斎藤氏の知名度を上げることに貢献した。日本を元気にする会は政調会長の山田太郎参院議員がこれを確認する質問主意書を出したが、政府の答弁が「具体的事実に即して判断されるべきもの」というものだったため、斎藤氏は選挙中に「グレーゾーン」とされるボードを使用している。「障害に負けずに戦う健気な若い女性」というイメージ作りが成功し、これが勝因となった。

ただ斎藤氏は全く話せないわけではない。ホステス時代には読唇術で相手方が話していることを読み取り、会話をしていたと言われている。「筆談ホステス」と筆談することを楽しみにしてやってきた客が、幻滅したという話も聞いた。区議選でも最終日のマイクおさめには、自分の声で集まった有権者に訴えた。その話しぶりはやや聞き取りにくいところがあるものの、十分理解できるものだった。

港区の橋本樹里氏は落選

日本を元気にする会はまた、港区議選で元タレントの橋本樹里氏を擁立した。千葉ロッテマリーンズのマスコットガールを務めていた橋本氏は、全国的知名度はいまいちでも、ロッテファンには「勝利の女神」として知られた存在だった。しかし結果は693票しか獲れずに落選している。

橋本氏の敗因について、「空中戦ばかりしていたからだ」との批判もあるが、3月17日に新宿で開かれた日本を元気にする会の「屋外党大会」では、橋本氏はビラ配りなどに奮闘していた。その可憐な容姿は人目を引き、マスコミも橋本氏を重点的に取材していた。

ではなぜ斎藤氏が勝ち、橋本氏が負けたのか。それは訴えた政策の差にあると思われる。斎藤氏が訴えた「バリアフリー」「女性の社会進出」そして「少子化・育児」は、斎藤氏自身の人生に重なり、非常にわかりやすい。それに比べて橋本氏の掲げた「5つの約束」は抽象的すぎて、インパクトに欠けていた。

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