知っているようで知らない「台湾独立」の真の意味 中国の情報戦で誤解も広がる重要キーワード

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台湾、総統府、独立、中華民国
台湾の民進党政権はよく「台湾独立志向」と紹介されるが、現状維持と台湾独立は違うものだ(写真:編集部撮影)

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台湾に関連する報道で「台湾独立」という用語が出てくる。6月19日には中国を訪問したアメリカのブリンケン国務長官が「アメリカは台湾独立を支持しない」と述べたように目にする機会も多いだろう。

だが、「台湾独立」が具体的に何を意味するのか、どういう手続きが必要なのか、実現の可能性はどれほどあるのか。実は、わかっているようであまり理解されていない用語ではないだろうか。

「台湾独立」とは、台湾を統治する中華民国を解体して、台湾共和国あるいは台湾国を建国することを指す。「独立派」とは、この建国独立の理念を追求する人々のことを指す。これが本来の定義だ。この用語は台湾情勢を理解するうえで不可欠であるだけでなく、台湾有事にもからんでくる。曖昧な認識では台湾情勢の誤読につながりかねない。

台湾の2大政党は「台湾独立」にどのような立場をとっているのか。国民党は台湾独立に反対。民進党は1991年制定の綱領で台湾共和国の建国を掲げたが、1999年の党大会決議(台湾前途決議文)によって中華民国を続ける現状維持に転換した。台湾独立を「封印」というのがいまの民進党の立場だ。ほかに台湾基進などの小政党といくつかの諸派は台湾独立を正面から掲げている。

台湾独立に必要な手続きとは

よく「台湾が独立を宣言したら」という仮定が出るが、これは現実からズレた仮定だ。「独立宣言」が盛んに議論されたのは民主化後間もない1990年代。台湾は法治が定着しており、仮に今の台湾の総統が独立を宣言しても何の根拠もなく、何も変わらない。政府が宣言しても同様だ。そのようなことをしたらクーデターもどきであり、大混乱に陥るだけだ。そもそも民進党自身が現状を変更するためには公民投票(国民投票)が必要だと主張している。

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