六角さん、借金苦でどん底に成功あきらめた過去 60歳過ぎたら「仕事は好きなようにやったほうがいい」

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――六角さんは飄々としたイメージがありますが、若い頃はガツガツした成功願望みたいなものはあったんでしょうか。

昔はあったと思います。何を成功とするかはわからないですけど、劇団の中で、とりあえず一番目立ちたいとかね。

主演じゃなくても、その役なりの目立ち方、輝き方はしてみたいと思っていました。それでメディアに取り上げられたり、出演オファーが来たりしたらやっぱりうれしいし。

借金苦でどん底に堕ちた時、成功はあきらめた

――いつ頃から「俺は成功するぞ!」みたいな気負いが抜けてきたんですか。

30代半ば過ぎて、借金だけ増えて、誰にも必要とされなくなってきた時です。周りを見渡したら、知っている人たちが舞台やテレビにいっぱい出ていて。「自分はもうダメなんだ」と堕ち切った時に、成功しようとするのはあきらめました。

1962年、兵庫県生まれ。学習院大学中退。1982年に劇団「善人会議」(現・扉座)の旗揚げに参加。主な劇団公演に出演し、その後ドラマや映画などでも活躍。2009年「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」で映画初主演。大劇場から小劇場まで幅広くこなす役者ながら、鉄道好きでも知られ、「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」(NHK-BS)などの番組にも出演。ミュージシャンとしても「六角精児バンド」で2枚のCDをリリース。2022年には初のソロアルバム「人は人を救えない」を発表した。7月4日(火)21時スタートのドラマ「シッコウ!!〜犬と私と執行官〜」(テレビ朝日系)にレギュラー出演。また、NHKラジオ第1の生放送番組「ふんわり」木曜日のパーソナリティーを担当(撮影:尾形文繁)

――精神的にも相当キツかったんじゃないでしょうか。

まぁ、ギャンブルで借金抱えて、嫁さんも子どもと一緒に家を出て行ってしまってましたからね。ただ、ここで断言できるのは、人間は、自分だけの力で這い上がるなんて無理だということです。

身の回りに自分のことを考えてくれている人がいるかどうか。その人が差し伸べてくれた手をつかむかどうかが大事だと感じましたね。

自分の場合はありがたいことにドラマの『相棒』への出演依頼やほかの仕事もいただけて、借金返済と子どもの養育費を払いながら、がむしゃらに働きました。借金をすべて返し終わった頃に、鑑識・米沢守の出番も増えて、『相棒』シリーズの映画に主役として出ることができたんです。

もし周りが山賊みたいな人ばっかりだったら、こうはなってないと思います。

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