名古屋鉄道、「オリジナル土産物店」実現の舞台裏 地元メーカーとコラボ、3カ月で3割を入れ替え

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さぞかし苦労も多かったことだろう。それ以前に、なぜ名鉄グループがお土産物店をはじめたのか。興味が尽きない。そこで「名鉄商店」の店長でクリエーティブディレクターとして商品開発も手がける棚橋省午さんに話を聞いた。

「名鉄商店を運営する名鉄生活創研は、名鉄の駅前や駅ナカにあるファミリーマート、成城石井、ロフトなど愛知、岐阜で42店舗を運営する小売物品販売業者です。名鉄商店は、2022年12月1日にオープンしました。その背景には、親会社である名鉄が社運を賭けて取り組む名駅再開発計画が新型コロナによって延期されたことがあります」(棚橋さん)

名鉄が計画を発表したのは、2017年3月。名鉄百貨店や近鉄パッセ、名鉄レジャック、日本生命笹島ビルが含まれるエリアを対象地域とした再開発計画で、当初の予定では、2022年度に着工し、リニア中央新幹線開業のタイミングを目標に駅機能の整備を行うとしていた。

しかし、2020年に新型コロナの感染が拡大したことで計画内容やスケジュールをに見直すことに。2021年6月に就任した名鉄の髙﨑裕樹社長は、2030年頃に駅機能の整備を目指したいとしているが、着工の時期などはまだ決まっていない。

「2022年3月に名鉄百貨店本店[メンズ館]1階に入っていたアパレルブランドの閉店が決まり、そこに物販、それも新業態の店を出店することになりました。名鉄社内に髙﨑社長名での物販新業態検討の公募が20〜30代の若手社員を対象にあり、応募した10名程度がチームに分かれてそれぞれがアイデアの検討を開始しました。それが2021年夏頃のことでした」(棚橋さん)

本当に名古屋には何もないのか?

棚橋さん自身も公募に手を挙げた一人である。棚橋さんは2010年に名鉄へ入社し、総務部で法務やリスクマネジメント業務に従事した後、グループ事業部へ異動し、バスやホテル、流通部門等のグループ会社のマネジメント業務に携わっていたという。同じチームには入社6年目、2年目の後輩もいたが、棚橋さんも含めてこれまで小売業や商品開発の経験はなく、仕事に刺激を求めて参加したのだった。

新業態店は、名鉄沿線にある地域の特産品を一堂に集めたアンテナショップや、コロナ禍で急速にラインナップが増えた冷凍食品の専門店など、さまざまな案が出された。しかし、食品販売部門がある名鉄百貨店と差別化するのが難しく、なかなかOKが出なかった。

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