なぜ危機にある日銀植田総裁にみんな優しいのか パウエルFRB議長は記者会見で吊るし上げ状態

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一方、日本では、カモを狙う一部のトレーダーは、関心があるふりをして、時折、日銀を攻撃する。だが、それは総会屋やアクティビスト(いわゆる「物言う株主」)のようなもので、日本の金融市場関係者、日銀、政府、そしてメディアや社会が気弱な精神構造をしているので、ここぞとばかりに攻め立てるという、「小学生のいじめっ子のレベル」なのである。

「今世紀4回目の緩和」はあるのか

しかし、本質的により深刻な問題を抱えているのは、いうまでもなく日銀の金融政策である。また、もはや押すにも引くにも動きにくく、ジリ貧の欧州経済なのである。

これが、21世紀の金融政策をめぐる本質である。投資家もエコノミストもメディアも、そしてなぜか経済学者たちも、中央銀行が甘い緩和三昧の金融政策を行っていれば、中央銀行は非難されず、セントラルバンカーたちはぬくぬくと仕事を続けられるのである。

その結果、バブルが大崩壊しても、そのときはすべての人々が中央銀行にすがるから、過去の緩和を攻撃している場合ではない。それどころか、さらなる異常な前代未聞の金融緩和を切望し、それを「英断する」(ただ甘く行動するだけなのだが)中央銀行は、「救世主」として市場と社会から絶賛されるのである。

問題は、今世紀に入って、すでにこれを3回繰り返しているが、もう1度やる余力が世界経済にあるかどうかである。いうまでもなく、私は「ない」と思っている。だが、「ある」と思っている投資家たちですら、うすうす懐疑的になってきている。ただ、今のところ、都合の悪いものは見ないようにしているだけである。

崩壊の日は近い。

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