偽物の官製成功事例を見抜く5つのポイント なぜ「コンパクトシティ」は失敗したのか

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かつて「コンパクトシティ」の成功事例としてとりあげられた青森市。だが青森駅前にある中核複合施設の「アウガ」を運営する第3セクターは経営危機状態に。青森市は5月下旬までにアウガの方向性について判断を下す予定(写真は地下の新鮮市場、アフロ)

前回のコラム「なぜ『地方の成功事例』はつぶされるのか」では、せっかく民間で芽を出した成功事例が、行政の調査事業やモデル事業として採用されることによって疲弊し、つぶされていくという構造を解説しました。

今回は、「もう一つの成功事例」である、「官製成功事例」について取り上げたいと思います。

実は地域活性化事業の成功事例は、「民間による事例」と「行政による事例」の2つに大きく分かれます。そのうち後者は、民間の事例以上に注意しなくてはならないのです。なぜでしょうか。それはその中に、少なからず「偽物の成功事例」が隠されているからです。今回は「官製成功事例」の実態と、その真偽を見定めるためのポイントを整理します。

なぜ官は「目玉事業」を作るのか

「官」が新たに地域政策に取り組むときは、必ずといっていいほど「目玉事業」をつくりたがります。それは、全国の見本となり、その事業(政策)がいかにその地方に必要であるかを具体的に示す材料がなければ、「そもそもそんな政策は必要なのか」という指摘を受けてしまうからです。

政策の有効性を示すためにも、そうしためぼしい政策の文脈にのっている自治体を選定し、重点的に税金で支援を行い、さもその取り組みが成功しているように見せるという方法を取る場合があります。この時に生まれるのが「官製成功事例」なのです。

この方法の大きな問題は、あくまで「成功」は予算投入時などの一時期だけということです。その後失敗が明らかになると、地域のお荷物事業になってしまうことが多く、財政的にも政治的にも地域に大きな歪みを残してしまうことです。

さらに、「成功事例」として取り上げてしまうことで、全国からの視察見学が集まり、「実は失敗している事業」を成功だと思い込んで、複数の地域がパクってしまうことです。こうして、「全国レベルでの失敗の連鎖」が生み出されてしまいます。

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