偽物の官製成功事例を見抜く5つのポイント

なぜ「コンパクトシティ」は失敗したのか

こうした都市の取り組みは、一時期は成功事例ともてはやされたものの、失敗が明らかになるにつれて、徐々にメディアなどへの露出は減っていきます。今となっては、どの成功事例集にも、メディアにも掲載されていません。もちろん、失敗事例だけがまとめられた資料なども存在しません。

つまり、失敗例はその存在が事実上抹消されてしまうのです。

なぜ失敗は引き継がれず、社会でも共有されないのか

さて、深刻な問題はここからです。これらの失敗事業による負債や、毎年多額の維持費が必要となる建物自体は、その地域から消えるわけではありません。つまり地域に残り続け、その負担は市民が負い続けなければならないのです。結局のところ、最後に割りを食っているのは、市民です。つまり、活性化どころか、逆に地方の負担が増してしまい、地方衰退の原因の一つになってしまうのです。

さらに、困るのは、行政側では頻繁な人事異動があるため、引き継ぎがほとんどなされません。過去の失敗については、今の担当者の多くはよく知りません。時折、消されたはずの失敗事例を、間違って成功事例で紹介してしまうという「事故」さえ、起きることがあります。

本来は失敗した事例こそ、整理して「なぜ失敗したのか」と向き合う必要があります。個別の都市を批判するのではなく、他の地域が同じ間違いを繰り返さないためにも、過去の失敗は整理され、そのプロセスは皆で共有されるべきです。明日は我が身なのですから。

しかし、官の立場からすると、組織と個人双方からみて過去の失敗を積極的に公表するメリットがないため、失敗事例は存在そのものを消されて(無視されて)終わってしまいます。

現在、全国で盛んになっている地方創生政策でも、さまざまな成功事例が紹介されています。もちろん、地域の人々の長年の努力によって成果をあげている取り組みも少なくありません。しかし、その中に紛れて官製成功事例、疑似成功事例も存在しています。

困ったことに、完全に交付金や補助金依存の「力技」に依存している取り組みが、市場と向き合った地道な取り組みと同列で取り上げられていたりするのです。この違いを、現場で事業に取り組む人たちは、見極めなくてはなりません。

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