「クックパッド」は何故こんなにも凋落したのか 栄華を極めた2016年以降、業績は右肩下がり
・レシピサイトの乱立
まずは、競合となるレシピサイトの乱立だ。エブリーが運営する「DELISH KITCHEN」(2015年9月開始)、delyが運営する「クラシル」(2016年2月開始)、BuzzFeed Japan系列の「Tasty Japan」(2016年8月日本上陸)といったサービスが登場したのは、ちょうどクックパッド全盛期とタイミングが重なる。
いま挙げたようなライバルは、ツイッターやインスタグラムなど、あらゆるSNSにコンテンツを展開する「分散型メディア」からスタートした。他社のプラットフォームを使うため、ユーザーから直接お金を落としてもらいづらく、コンテンツそのものを企業とのタイアップ広告とすることで、収益を成り立たせる。クックパッドにも同様の広告商品はあるが、こちらは基本的に「有料会員」を設けて自社サイト内に囲い込むビジネスモデルといえるだろう。
新興レシピサイトとの違いは、コンテンツ面にもある。写真と文字が主体のクックパッドに対して、競合各社はテロップ入りの調理動画を多用することで、質の担保と、見栄えの良さを両立させた。
・情報に対する価値観の変化
ちょうどネット情報は、「映え」と「タイパ(タイムパフォーマンス)」重視に変わりゆくタイミング。「情報はタダで得るもの」といった感覚も高まりつつあり、これらの時流に乗ったのが、ライバルが急成長した一因だろう。
一般消費者が情報を提供するCGM
クックパッドは「食べログ」「@cosme(アットコスメ)」「Yahoo!知恵袋」などとともに、CGM(Consumer Generated Media=消費者生成メディア)と位置づけられている。一般消費者から「口コミ」を広く集め、集合知を形成。たくさんの情報が集まっているとアピールすることで、さらなる新規ユーザーが流入して、コミュニティーが拡大していくスタイルだ。
一方でCGMは、低品質の投稿が集まることもあり、玉石混交になりかねない。削除を徹底しすぎても、作業負担は増えるうえ、ユーザーに「運営やクライアントに不都合な投稿も消しているのでは」といった疑念を抱かせるリスクもある。その点、分散型メディアは、スタッフによるコンテンツ内製が中心だ。
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