「価値ないズワイガニ」まで獲る日本漁業の異様 深刻な水産資源の減少、資源管理に構造的な欠陥

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次にノルウェーでのズワイガニやタラバガニの資源管理の成功例をご説明します。

ノルウェーで厄介者だったタラバガニが今では重要な資源

2022年のノルウェーでのズワイガニとタラバガニの漁獲量と水揚げ金額は、各7960トンと2165トン、56億円と109億円(1ノルウェークローネ=13円)でした(ノルウェー漁業省)。合計で165億円もの水揚げ金額です。

ノルウェータラバ(写真:筆者提供)

ノルウェーでのタラバガニの初水揚げは1999年、ズワイガニは同2012年からでした。実はもともとノルウェー海域には、タラバガニもズワイガニもいなかったのです。タラバガニはロシアが太平洋側から持ち込んだ資源でした。それがノルウェーの沿岸にも移動を始めたのです。

当初は、アトランティックサーモンの養殖生け簀などに絡みつく厄介者のように言われていました。またズワイガニについては、1996年に初めて資源が確認されました。ところがすぐには漁獲せず、15年以上待って2012年からようやく漁獲を少しずつ始め、現在に至っています。タラバガニ・ズワイガニ共に資源管理を行うことで、今では重要な資源に成長しているのです。

上のグラフをご覧ください。もともとズワイガニがいなかったノルウェーが、もともと漁獲していた日本の約3倍の漁獲量となっているのです。この差は今後とも開いていくことでしょう。

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