「価値ないズワイガニ」まで獲る日本漁業の異様 深刻な水産資源の減少、資源管理に構造的な欠陥
ズワイガニはオスとメスではサイズが異なり、メスはオスのように大きくなりません。日本が輸入しているカナダ・ロシア・アメリカ・ノルウェーといった国々では、メスは漁獲しても海に放流しています。
一方で、日本ではメスの卵を珍重する習慣があります。日本が輸入している国々ではメスも小さなオスも漁獲していません。これでは日本での資源回復が見込めるはずはありません。
「獲り放題」状態の日本
つぎの表をご覧ください。日本がズワイガニを輸入している主要国であるカナダ(ニューファンドランド)のTAC(漁獲可能量)と漁獲実績で、下の表が日本のものです。
前者のTAC消化率が約99%であるのに対し、日本はわずか50%程度であることがわかります。TACと実績がほぼ100%というのが、資源管理が機能している国と魚種の特徴です。一方で、日本のように50%程度の消化率では、「獲り放題」となり、乱獲が進み資源は崩壊していきます。
ズワイガニのTACは、2021年度よりそれより5つの系統(太平洋北部系群・日本海系群AとB海域、北海道西部系群およびオホーツク海南部)に分かれて配分されるようになりました。このように細かく分類することは資源管理の適正化につながります。
しかしながら、北海道産の前年度の実績は、北海道西部系漁獲量実績がわずか7トン(枠43トン)、オホーツク海南部が92トン(枠1000トン)と各16%と9%の消化率となっており、2022年度も同じ枠が設定されています。
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