「価値ないズワイガニ」まで獲る日本漁業の異様 深刻な水産資源の減少、資源管理に構造的な欠陥

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日本の場合は、ズワイガニの貴重な資源を発見しても、廃棄したり、小型で価値がなくても、それを漁獲してすぐ利用しようとしています。

一方でノルウェーでは、ズワイガニの資源を発見してもすぐには漁獲せず15年以上も待って、資源の持続性を確認してから漁獲を開始しました。両者の資源管理への対応が異なり、未来に対する結果が大きく違ってしまったのは言うまでもありません。

資源管理の構造的な問題

価値がない小さなオスのズワイガニまで獲ってしまう日本の漁業。その資源管理の構造的な欠陥に気づかなければ、世界でも類を見ない漁業生産量の減少を続ける悪循環が止まりません。

なお、これは決してカニを廃棄する漁業者が悪いのではなく、資源管理制度とその仕組みの構造的な問題なのです。

2020年に70年ぶりと言われる漁業法の改正が行われ「国際的に見て遜色がない資源管理」を目指すようになっています。資源管理により漁業者に最大のメリットが出るのですが、これまでの自画自賛の自主管理で、漁業者・水産業界は大きくミスリードされたまま、資源の減少という負の遺産が大きくなってしまいました。

やるべきことは、客観的な事実に基づき、明確な世界の成功例を取り入れていくことです。

片野 歩 Fisk Japan CEO

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かたの・あゆむ / Ayumu Katano

早稲田大学卒。Youtube「おさかな研究所」発信。2022年東洋経済オンラインでニューウェーブ賞受賞。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。長年北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国であるノルウェーには、20年以上毎年訪問を続けてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会)、『日本の漁業が崩壊する本当の理由』他。

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