江頭2:50の「エガちゃんねる」が伝説になった必然 「嫌なことがあったら俺を見ろ!そして笑え!」(前編)

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制作プロダクション「ばんぺいゆ」代表で、『エガちゃんねる』総合演出・ディレクターの藤野義明氏(写真:藤野氏提供)

「『「ぷっ」すま』のADになって、初めてロケで行ったのが『ギリギリマスター』(あらゆる物事を限界寸前で止められるかを競う人気企画)で、そのときに江頭さんが出てたんです。『江頭さんが出るんだから絶対に失敗は許されないぞ』というスタッフの気迫が凄くて、江頭さんの1〜2分の出番のために、ここまで集中してやるんだなと衝撃を受けましたね」

「ワンクールのレギュラーより1回の伝説」を掲げ、体を張った過酷な芸を武器に数々の爆笑と逸話を残してきた江頭2:50。『「ぷっ」すま』の準レギュラーとしてたびたび登場しては、笑いを巻き起こしてきた。

ADからディレクターに昇進した藤野は、江頭と組んでコンプライアンスに厳しい昨今ではありえない企画を仕掛ける。それは、寝たふりをしている江頭の顔面に突風をあてたり、 ランマーと呼ばれる道路工事現場で使う重機を腹の上に乗せて動かすといった、どれもとんでもないもの。

「江頭さんから『藤野くん、ゴールデンよりも視聴率を残して伝説残しましょう』みたいに言われて、気合が入りましたね」

と藤野は振り返る。

3番組が終了…テレビ界に激震が走った

藤野は2011年に、ケイマックスの仕事を続けなから制作会社・ばんぺいゆを設立し、代表に就任。さらに経験を積んでいくが、そんな彼に大きな試練が訪れる。

2018年3月に長年、ディレクターとして携わってきた『「ぷっ」すま』が打ち切りとなったのだ。

「10年以上やらせてもらった番組が終わるっていうのは、僕の人生にとって大きな衝撃でした。生活の軸が1個なくなったっていう感じです」

奇しくも『「ぷっ」すま』だけではなく、『めちゃ×2イケてるッ!』『とんねるずのみなさんのおかげでした』(いずれもフジテレビ系)が同時期に終了することになり、テレビ界に激震が走った。

この3番組の終了によって大きなダメージを食らったのが、たびたび出演しては伝説を残していた江頭である。結果的にテレビからほぼ姿を消した江頭に、藤野はたびたび連絡。『「ぷっ」すま』終了後から毎月「江頭会議」と称し、飲んではコミュニケーションを取った。

「江頭さんが『もう僕全然仕事ないですよ』みたいな感じで悲しそうに言っていたんです。心配になるほど元気がなくて、不安になりました。それと同時に『伝説の芸人を、このまま消えさせたくない』という気持ちも強くなりました」

藤野は江頭をメインにしたコンプライアンスを無視した過酷なロケを敢行するお笑い番組『がんばれ!エガちゃんピン』(BeeTV)のディレクターとしてタッグを組んだ経験もあり、「何か一緒に新しいことがしたい」という思いがあった。

そこで藤野は、江頭をメインにした企画書をさまざまなテレビ局に持って訪ねてまわった。ところが、どこに持っていっても企画が通らない。

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