想像を超えた!アップル「新型ゴーグル」の真価 他製品を圧倒する完成度で新ジャンルを開拓

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さらに先述のDigital Crownを回すことで、仮想空間と現実空間を切り替えることができる。

Vision Proには、極めて高精細な仮想空間(世界中の雄大な自然など、心が落ち着く空間)のデータが組み込まれている。好みの仮想空間を選んでおいてDigital Crownを回せば、中央から少しずつ仮想空間が広がり、最後には自分の周り全体を包み込んでくれる。

この状態で音楽を聞いたり、映像、アプリケーションを動かしたりすることもできるが、誰かに声をかけられてそちらを向くと、うっすら半透明になって、相手の顔を認識できる。自分自身で発話し始めると、その相手の顔がさらにはっきりと見えるようになる。

どれほど仮想空間に没入していようとも、現実空間にいる他者との関係は維持し、孤立させないようにする工夫だ。最初はうっすら、そしてだんだんと顔が見えるよう配慮されており、“虚”と“実”の間を行き来する際の不自然さを覚えない。

音響の切り替えも滑らかに行われる

同様の自然な虚実の往来は、実はVision Proの音響技術にも応用されている。

Vision Proには空間オーディオ技術が組み込まれており、たとえばビデオ会議で話者のウィンドウ脇にアプリケーション画面が表示され、そちらを向くと、話者の方向から音が聞こえる。これは一例だが、Vision Proで表現される空間に合わせた方向に、音響空間も自動的に追従するよう調整されているからだ。

Vision Proにおけるアプリケーションのウィンドウは、複数のパネルを任意の角度と距離に置いてサイズも変更できるが、それぞれのアプリケーションから出される音は、きちんとそちらの方向から聞こえてくる。

そしてこの空間オーディオに対応した耳元スピーカーは、ある程度のノイズ抑制効果を備えている。Digital Crownを回して没入モードに入ったり、映像再生アプリをシアターモード(映像以外の部分を暗く照明を落として見せるモード)にして映像を楽しむことに集中したりしている場合、周りの音は聞き取りにくくなる。

ところが隣にいる人を見つめながら話し始めると、アプリからの音量が自動的に下がり、周りの音の抑制をしなくなる。この切り替えも、急なものではなく自然に滑らかに行われる。

ちなみにこれらの体験は「AirPods Pro(第2世代)」などと組み合わせた場合でも同じで、AirPods Pro(第2世代)のノイズキャンセリング効果が、没入度に応じて自動調整される。接続が保証されているのは、空間オーディオ対応イヤホン(つまりアップル製とBeats製)のみだ。

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