バーミヤン「2000円弱ちょい飲み」が秀逸だった 18時スタートですでに店内は盛況、割引も充実

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これらは今春に投入されたメニューで、すかいらーくグループの2023年度4月の業績を解説するIR資料には、次の説明がありました。

「バーミヤン:4月13日に小皿メニューを増やしたグランドメニューを導入。ランチセットや定食メニューの土曜提供や晩酌セットによるアルコール訴求強化、お手頃価格に見直した麺メニューなどにより、狙い通り客数増に貢献」

プロモーション戦略にまんまと乗った形になりますが、利用者側は、晩酌やちょい飲みには小皿メニューが注文しやすく、店側は、追加注文で客単価を上げる効果もあるでしょう。入店時は1人客も多く、早めの定食やちょい飲みを楽しむお客さんが目立ちました。

「エンドレス飲み」は戻らない

人流が戻り、かなりコロナ前の生活に近づいたとはいえ、繁華街では「お客さんの引きが早くなった」という声をよく聞きます。会食後の街の人通りでもそれを実感し、以前のように、終電近くに電車が激混みする光景も少なくなりました。

その意味で「ちょい飲み」は、消費者ニーズの再発掘となるかもしれません。

「従来型の飲みスタイル『深く・遅くまで』とは違う、新しい飲みスタイル『浅く・早く』が芽生えていますよね。自宅に帰ったら、まだ小学生と園児の子どもが起きていました。ちょい飲みだと、帰宅後に子どもの顔が見られるのもいいですね」

一緒に楽しんだ男性からは、こんな意見が寄せられました。

外食業界では一部の店で深夜営業を再開する動きがあり、その時間に活動する人のニーズもありますが、全体的には昔のように夜遅くまで働く・遊ぶという行動は減りました。「健康志向」や「働き方改革」の影響もあるでしょう。

「コロナ後になっても、コロナ前には完全に戻らない」という声もあります。これを当てはめると「深く・遅くまで」の飲みスタイルは多くの人には不評で、以前のようにはいかないでしょう。20時前に切り上げたちょい飲みをしながら、こんなことを考えました。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

 

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