「子どもの弱視見逃し」は"脳の発達に影響"の深刻 3歳児健診での早期発見・治療が必要な理由
子どもの弱視を指摘され、泣き崩れた母親
「弱視について、今まで誰も教えてくれませんでした。なぜもっと早く、この子の目が悪いことを見つけてあげられなかったんだろう」
そう言って6歳児Aちゃんの母親は、街中の眼科医院で泣き崩れた。小学校の健康診断(健診)により医療機関の受診を促され、眼科医から弱視を指摘されたからだった。
医師「3歳児健診で目の検査をした時、要再検査と言われませんでしたか?」
母親「3歳児健診? 目の検査なんてありましたっけ?」
医師「最初に、ご家庭で視力検査をしたでしょう?」
母親「そういえば、なぜ3歳でそんな検査をしなきゃいけないのかと思っていました。まだ黒板を見るわけでもないから、さっと済ませればいいかと思って……」
医師「お母さんは右と左、きちんと片方ずつ測っていたつもりでも、お子さんは指の間からこっそり見ていたのでは?」
母親「多分そうです。活発で、動き回る子だから。目を細めたり、首をかしげたりもしませんでしたので……」
責任を感じた母親は「何で見逃してしまったんだろう。私、母親失格です」とうなだれ、ハンカチで何度も涙を拭った。Aちゃんは不安そうに医師と母親の顔を交互に見ながら、母親の手をギュッと握りしめる。
Aちゃんの視力を測ってみると右目は1.0だが左目は0.3だった。左目は強い遠視と強い乱視が入り、「不同視弱視」といって、ほぼ右目だけで見ている状態だった。