中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)が、組織のスリム化を進めている。同社が3月28日に事業の6分割を発表した後、市場では「各事業グループが人員カットに着手した」との噂が絶えなかった。
直近では、6つの事業グループの1つでクラウドサービスなどを手がける「クラウド・インテリジェンス・グループ」が、全体の7%の社員を解雇したという情報が流れた。財新記者がその真偽を問い合わせると、同グループは5月24日に「組織内のポストや人員数に関する通常の最適化だ」と回答し、人員カットの実施を事実上認めた。
国内EC事業の「淘宝天猫(タオバオ・Tモール)コマース・グループ」、ネット出前など生活関連サービスの「ローカル・サービス・グループ」、物流事業の「菜鳥(ツァイニャオ)スマート・ロジスティクス・グループ」、動画配信などの「デジタル・メディア・アンド・エンターテインメント・グループ」などからも、人員カットの情報が漏れ伝わる。なかでも国内EC事業では、社員の4分の1が解雇されると囁かれた。
同じく5月24日、菜鳥グループは財新記者の問い合わせに「噂は偽情報だ」と回答。ローカル・サービス・グループは「そのような事実はなく、事業グループの発展に真剣に取り組んでいる」とコメントした。一方、淘宝天猫グループとエンターテインメント・グループからは回答がなかった。
スタッフ部門にリストラ予告
翌25日夜、アリババはSNSの公式アカウントで「淘宝天猫、クラウド、菜鳥、ローカル・サービスの(各事業グループにおける)人員カットはデマだ」と述べ、噂を否定。そのうえで、「2023年は6つの事業グループ全体で1万5000人を新規採用する」と火消しを図った。
アリババの社員削減は、事業分割の発表とともに始まったわけではない。決算報告書によれば、2023年3月末時点のグループ従業員数は23万5200人と、2022年12月末からの3カ月間で4500人余り減少している。
とはいえ、事業分割はスリム化を加速する契機になった。6つの事業グループには、それぞれ独自の董事会(取締役会に相当)とCEO(最高経営責任者)職が設けられ、業績に責任を負う。さらに、単独でのIPO(新規株式公開)やグループ外からの資金調達を行う裁量権も与えられたからだ。
「各事業グループでは、スタッフ型の人材はあまり多くは必要ない。事業分割とともに本社のスタッフ部門から異動した社員に対しては、半年以内に大規模なリストラが予定され、業務上の価値を創造できる人材だけを残す旨があらかじめ伝達されていた。今回の人員カットはその一環だ」
アリババの内情に詳しいある関係者は、財新記者の取材に対してそう証言した。
(財新記者:包雲紅、張爾弛)
※原文の配信は5月25日
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