「私のイメージの中にあったのは、昔のラリーマシンです。今のスーパースポーツはどれもみな同じ方向を向いているから、違ったベクトルで運転を楽しめるようにしたい、と思いました」
具体的にはどんなクルマがイメージにあったのか。そう尋ねると、モア氏、わが意を得たりとばかりに、目を輝かせた。
「私がインスパイアされたのは、ランチア『ストラトス』(1973年)。そのあとの世界ラリー選手権のグループB(1982~1986年)のラリーカーも、大好きでした」
ランチア「デルタS4」、ポルシェ「959」、アウディ「クワトロ」、プジョー「205ターボ16」、フォード「RS200」……といった車種名が、ずらずらと出てくる。
「私は自分で三菱『ランサー エボリューションⅥ』(1999年発表)を走らせて楽しんでいます。ボディコントロール性において、ピカイチです。エボⅦになると乗用車的になりすぎて(笑)」
要するに、モア氏の頭のなかにあったのはラリークロス競技(ダートと舗装路ともに走るレース)で戦闘力を発揮するマシン、ということだろう。
もっとも”今っぽい”スーパースポーツの楽しみかたではないか、という提案がウラカン・ステラートとして具体的な形になったのだ。
誰もがラリードライバーになれるクルマ
ウラカン ステラートは、砂ぼこりをエンジンルームに吸い込まないように車体側面のエアインテークを塞ぎ、ルーフ後端にエアスクープを設けている。一方で、「氷上でもすばらしい性能を発揮します」とモア氏はつけ加える。
「開発中は、ランボルギーニがスウェーデンに持っている氷上テストコースにも出かけました。まるで、ハンヌ・ミッコラになった気分で楽しめましたよ。誰でもミッコラになれます」
とにかく、熱い情熱で作られたクルマ。それがランボルギーニ ウラカン ステラートなのだ。そうなれば気になるのは、日本で買えるかどうかだろう。
日本での価格は3116万5367円というのが、本社からの情報だ。ただし、世界限定1499台は「ほぼ売り切れ」だそうだ。この希少な万能選手を手にできる人が、実にうらやましい。
全長×全幅×全高:4525 mm ×1956mm×1248mm
ホイールベース:2620mm
車重:1470kg
エンジン:5204cc V型10気筒
最高出力:449kW/8000rpm
最大トルク:560Nm/655555500rpm
変速機:7速DCT
駆動方式:フルタイム4輪駆動
価格:3116万5367円
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