一瞬のドリフトを楽しんだあと、ごくわずかにアクセルペダルをゆるめると、即座にグリップは回復した。
小石の上で、実にきれいにスラロームしながら、走っていくことができる。しかも、カウンターステアを当てたほうがいいような場面でも、クルマにまかせておけば、瞬時に姿勢を立て直してくれる。
「ちょっとちょっと、今運転しているのはウラカンですよね」と言いたくなるほどの身のこなしだ。ドライバーズシートでステアリングを握っていると、思わず笑顔になっているのに気がつく。
高いコントロール性を実現しているのは、駆動力をおもに制御するLDVI(Lamborghini Integrated Vehicle Dynamics)、それにトルクベクタリング・バイ・ブレーキのおかげだ。
「後輪操舵システムはありません。テストしてみましたが、かえって動きがトリッキーに感じられるので、ナチュラルな運転性を重視して搭載をとりやめました」。先のモア氏はそう説明してくれた。
「万能選手」である根拠
ウラカンオーナーにクリニック(調査)を行ったところ、約9割の人のが「ステラートがベストなウラカンだ」と言ったんだそう。その外観からは予想もつかないが、乗ってみれば納得だ。
チャクワラバリー・レースウェイのあとは、ワインディングロードが“延々と”という感じで続くジョシュアツリー国立公園を抜け、フリーウェイを含む一般道へ。
200マイルほど離れたホテルまで走ったときも、スーパースポーツの気難しさはまったく感じられなかった。ハンドリングは驚くほど安定していて、快適の一言だ。
そもそもウラカンは、全方位的によくできているクルマだけれど、ステラートなら道路の穴ボコもすっと通過してしまえるし、途中で砂地の道があったとしても、スタックせずに走って行ける。これが冒頭で、「万能選手」といったワケ。
「ステラートとは、イタリア語で砂利(英語だとグラベル)の意味です。このクルマの開発に着手したのは、2017年。プロジェクトが始まるとき、私の頭のなかには、理想的なモデルがありました」。モア氏は、開発の背景を語る。
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