まとまらない相続「長男」が弟妹へつづった手紙 「内容証明郵便よりも、虎屋の羊羹」の深い意味
この手紙によって、受け取った弟さんと妹さんのお気持ちがどのように変化したのかは、私はお二人に直接お会いしていませんのでわかりません。ただ、この手紙を実際にご自身で手書きした和田さんのお気持ちには、大きな変化があったようです。
長年、経営の最前線におられた和田さんだからでしょう。「忍び難きを忍ぶ」と腹落ちしてからの弟さん妹さんとの交渉は、非常にスピーディーかつ効果的でした。
「内容証明郵便を発信すれば、対立は致命的に」
結果的に、創業者が亡くなられてから1年と6カ月で遺産分割協議はまとまり(新型コロナ感染症による相続税申告期限の延長措置の適用あり)、その3カ月後に株式の売買契約も完了したのでした。
「内容証明郵便よりも、虎屋の羊羹」という言葉は、税理士であり、公認会計士、弁護士でもある関根 稔先生の言葉です。
「相続について紛争が予想される場合は、内容証明郵便を発信すれば、対立は致命的になってしまう。そのような喧嘩腰の対応ではなく、菓子折を持っての挨拶のほうが有効だ」「100点ではなく60点を取る。(中略)人生において100点を目指す必要はない」「トラブルの解決は法務(法律)ではなく、営業の仕事なのだ」(『税理士のための百箇条― 実務と判断の指針(69ページ)』財経詳報社刊)。
相続でのもめごとは、相手の責任が100で、自分の責任はゼロだと感情的に捉えてしまいがちです。そんなときに思い出したい先人の格言です。
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