「子に内定が出ない」嘆く親に伝えたい過酷な現実 売り手市場とはいえ、今の就活は激化している

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② 大学生が多すぎる

2つめは、そもそも大学生の希少価値が落ちたことが挙げられます。

文部科学省のデータ(「文部科学統計要覧(平成30年版)」)によると、親御さん世代の進学率(大学+短大)は30〜40%前後。大学入学者数も、40万〜50万人の間で推移しており、まだまだ大学生は希少でした。そのため企業側も「大卒枠」と「高卒枠」を分けて採用を行なっていたわけです。

「大卒枠は高卒枠に比べると出世がしやすい」という世の風潮、そして「夢のキャンパスライフ」の2つを柱に、その後、大学進学率はどんどん上昇していきました。さらに、日本の教育制度では高校生で就きたい職が決まっている子はそこまで多くないので、「やりたいことを探しに大学に行こう」という提案もとても魅力的に映ったのだと思います。

高卒の求人数もかつての1〜2割に減っています。当時の高卒の主な就職先は製造・機械運転・建設・農林産業でしたが、工場の海外移転や不況による公共事業削減などで国内の雇用が喪失したためです。こうして、「大学に行かないと職がない」状況がつくられていったのです。

その結果、2022年の進学率は60.4%と、過去最高を更新しました。大学入学者も2022年には63.5万人に増加しています。大学の数そのものも、1985年には460校だったものが、2022年には790校に増えました。

一方、受け入れ側である「一流ホワイト企業」の採用枠はというと、総数では多少増えているものの、大学生の増加のスピードにはとても追いつけません。イス取りゲームのイスが増えないまま参加者だけ増えれば、イスに座れない人が増えるのは当然です。

親世代の“牧歌的側面”はなくなった

③ 「求める人材」レベルが上昇している

これまでより多くの人(大学生)が、自由に応募できるようになれば、当然、「一流ホワイト企業に採用される人材」のレベルは上がります。

今や、文系理系を問わずコミュニケーション能力(コミュ力)は必須となりました。コミュ力はもはや、「あることで有利になる力」ではなく、「なければそもそも土俵にも立てない力」です。

とくに文系はかつてないほど高いコミュ力を求められるようになり、楽天、日本IBM、ソニー、ファーストリテイリングなど、外国人との折衝力を必須にしている企業も出てきています。

一方、理系は、ITスキルやプログラミング、そしてAI活用に長けた人材は即戦力になるのでどんどん採用されるようになりましたが、理学部や農学部、生物学部などは「現場で使える専門性がない」とみなされることも多く、卓越したコミュ力がないと選考を通過しなくなっています。研究室にこもって研究をしているだけでは、現代の理系大学生は「一流ホワイト企業」にはいけないのです。

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