「これまでホンダのF1関連の投資は、1000億円単位との噂もあった。近年、ESG投資の観点が重視されているグローバルでの経営環境において、F1参戦の事業としての意義を明確化すること、そして今日の会見でも話が何度か出た事業の持続可能性が大事だと思う。そのうえで、F1関連投資の費用対効果を数字として決算時に公開する、またはKPI(重要業績評価指標)を設けて、事業としての達成状況を示すといった考え方はあるか」
これに対して三部社長から、次のように返答をえた。
「F1関連は当然、お金がかかる。今回のF1規定のなかで、(開発費用を制限する)コストキャップがあるので、かつてのように(ホンダとしてのF1開発費用の)上限なしでということにはならないと考えている。また、(F1関連の)開発費もレースだけではなく(今後量産化の可能性を模索する)スポーツカー、eVTOLのモーターなどにも使える。バッテリーもF1向けは高出力型で、これもeVTOLに応用できる」
そのため「どこまでをレース向けの予算として計算するかは非常に難しい」としたうえで、「決意」という言葉を用いて次のように語った。
「われわれとしてはレース活動総額としての数字(予算)は持っているので、今回はその中で戦う。それをKPIや(予算額の)数字として表に出すかどうかは決めていないが、(F1の)事業性を加味しながら今回(の参戦)を行っていく。それが継続的にレース活動をやっていくキーになると思っている。そのへんは今回の参戦決定にあたり、かなり役員の中で議論した。今回はそうした決意のもとで今日を迎えている」
ファイナンシャルな部分でプラスに
また、別の記者からの質問の回答で、三部社長はF1関連の開発費を抑制する方法として開発の効率性を上げると説明した。具体的には、以前はさまざまな試作品を作り、その適合対応の作業を高速で回してきたが、そうした方式を効率的なやり方に見直すという。
それによって、開発費はこれまでに比べて「かなり少ない数字になる」とした。そして、今回の「F1復帰」がホンダのファイナンシャルな部分で、マイナス要因になることはなく、プラスのインパクトがあるとも発言している。
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