「DXにSDGs」経営陣が流行のテーマを追う愚策 「現場の努力」に賭けるより良い立地の見極めを

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企業成長を内生現象と錯覚すると、カネやヒトといった経営資源を浪費する結果につながりかねないと著者は指摘します(写真:metamorworks/PIXTA)
成長しない事業立地を選んでおきながら、「現場の努力」に期待をかけると、カネやヒトといった経営資源を浪費する結果につながりかねない。
経営陣の仕事は、流行りのテーマに流されることなく、正しい事業立地を選ぶことにあると主張し、110社の偉大な経営者たちの着眼点に学ぼうとする書籍『企業成長の仕込み方』(『経営戦略の実戦』シリーズ2巻)から、企業成長を左右する要因は企業の外にあるという主張を抜粋してお届けしよう。

成長業種か、それ以外か

前回の記事では、成長のエンジンとして3種のシンコウ(深耕、新興、進攻)を取り上げた。

深耕とは、国内市場における事業範囲の拡大を指す。

進攻とは、海外市場の開拓を指す。

企業成長の仕込み方(経営戦略の実戦(2))
『企業成長の仕込み方(経営戦略の実戦(2))』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

新興とは、選んだ事業立地での競争優位の構築を指す。

ここで、成長のエンジンとしては、企業内部の工夫や努力もあるのではないか、と思われる読者もいるかもしれない。

もし、それが成長のエンジンだとすれば、業種は問わないはずである。

しかし、成長企業の業種分布を確かめて見ると、その結果は内部仮説を真っ向から否定する。

3月決算企業の2014年度の有価証券報告書が出揃う2015年6月末時点で編纂された有価証券報告書総覧によると、輸送用機器の構成比は東名阪一部上場と東京二部上場の母集団2239社のうち3.7%にすぎない。

一方で、本書の採択ケース110社の中では17.3%に達していて、同業企業中の高成長企業の採択率は22.9%に上る。

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