"不発"のピンタレスト、日本市場に根付くか 本社のエース級人材を投入してテコ入れ

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そこで今回、日本での利用者拡大に弾みをつけるため、本社からエース級社員を引き連れて来日した。こうした試みは世界でも初めてで、チームメンバーは当面日本に滞在する。「ピンタレストをよりわかりやすく効率的に説明するだけでなく、日本語しか話せない人たちに対して日本語のコンテンツをどうやってより見つけやすくするか、また、日本人にとってモバイルでの使い勝手をどう向上するか、という課題に取り組む」(クリスタル氏)。

「ピンタレストはSNSでも、写真共有サービスでもない」と、クリスタル氏が言う通り、ピンタレストはほかのSNSとは利用目的が異なる。フェイスブックやツイッターが、どちらかというと日記的な役割を果たしている一方、ピンタレストは、今年行きたい旅行先の画像を集めるなど、利用者の関心のあることや、今後のやりたいことに関する情報を収集するのに、使われることが多い。

情報を発見・発掘できるのが強み、と同社は訴えるが、今後はこの強みを日本のユーザーにどう効果的に伝えるかに加えて、日本人好みの使い勝手にしていくことも、重要になってくる。

日本でも企業がピンタレストのアカウントを設置する例が増えてきている。たとえばHISでは、直接的な商品の宣伝というより、「旅行に行きたくなる」気持ちをかき立てることを目的としているようだ

さらに今年は、ビジネスでの利用も増やしていきたい考えだ。

クリスタル氏によると、現在世界でピンされている画像の3分の2は、ビジネス目的のサイトに掲載されている画像。日本でも最近、企業のサイトなどで赤い「Pin it」ボタンを見かけるようになってきたが、これを利用者が押すと自分のボード上にピンされる。また、企業が自らアカウントを設置し、自らボードを作るケースも増えている。

ピンタレストは2014年5月、電通と業務提携をしており、今後は「電通の顧客企業に対して、ピンタレストをプロモートしてもらう、といったこともできると考えている」(クリスタル氏)。

ビジネス利用の拡大は、将来的なマネタイズにもつながってくる。米国では今年初めから本格的に、「Promoted Pins」と呼ぶ広告商品の提供を開始。広告主はたとえば、「サンフランシスコに住む、ホームデコレーションに興味のある30~40代の女性」など、ターゲットを絞って広告を投稿できるようになった。

広告の質にもこだわっており、「通常のコンテンツとそん色がないように、専門のチームが内容などを点検している」(クリスタル氏)。すでにプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)をはじめ、大手企業が続々と利用するなど、企業の関心も高いようだ。日本では広告商品の展開については未定だが、将来的に広告主になりうる企業に、今のうちからピンタレストに慣れてもらう必要はあるだろう。

日本で成功しないサービスの共通点は?

ただ、米国や世界で人気を集めるネットサービスが日本ではヒットせず、"不発"になる例は、意外と少なくない。

たとえば、世界では仕事で使えるSNSとして利用者の多い「LinkedIn(リンクトイン)」も、日本では、「入っていると転職先を探していると思われる」といった理由から、伸び悩んでいる。2014年に日本進出を果たした、世界最大の口コミサイト「Yelp(イェルプ)」も、普及が加速しているとは言いがたい。過去を振り返れば、「MySpace(マイスペース)」も、日本では鳴かず飛ばずだった。

多くはすでに類似の先行するサービスがあるか、日本人の習慣や嗜好にマッチしなかったことが、その理由として挙げられる。評価額1兆円を超す"怪物”は、エース級の人材投入で、日本市場を攻略できるだろうか。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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