ピンタレスト、"未来志向型"SNSの勝算 「なりたい自分」への道しるべ?
2014年12月下旬、東京・渋谷のカフェに50人ほどの若い女性が集まった。それぞれタブレットやノートブックパソコンを開き、熱心に自分の「ボード」を見つめる。
このイベントを主催したのは、米写真共有SNSのピンタレスト。共同創業者のベン・シルバーマンCEOが幼い頃、切手や昆虫などの収集が好きだったことに着想を得たことが起業のきっかけで、利用者は「ボード」と呼ぶ掲示板にネット上で見つけた自分の好きな写真やイラストなどを投稿・共有することができる。ボードはいくつでも設置可能で、たとえば「ストリートファッション」や「インテリア」「シャム猫」といった具合にカテゴリを作って、そこへ自分の好きな写真を“貼る(ピンタレストでは「ピンする」と呼ぶ)”ことができる。
世界で7000万人が利用
この日ピンタレストが開いたのは、自分の目標や希望、理想などをまとめた「ビジョンボード」のワークショップ。新年を迎える気分になっている時期ということもあって、海外のみならず、日本でも若い女性を中心にビジョンボードを作る人が増えており、「50人を募るイベントにもかかわらず、500人以上の応募があった」(広報担当者)という。
日本に本格進出したのは13年11月と、フェイスブックやツイッターなどほかのSNSに比べると遅く、日本での知名度は劣る感があるかもしれない(ちなみに12年に楽天が出資している)。が、フランスのソーシャルメディア調査会社セミオキャストが13年7月に発表した調査によると、ピンタレストの世界での利用者はおよそ7000万人に上る。時価総額は推定50億ドルと、ライバルのSNSに引けをとらない。また、ピンタレストの利用者の8割は女性、しかも、19〜35歳の比較的可処分所得の多い女性の利用が広がっているとされ、広告媒体としての魅力も高いと言われる。
奇しくも先月、写真共有SNS「インスタグラム」の月間アクティブ利用者数が3億人を突破し、ツイッターを超えたことが話題になったが、今後、世界では、言葉を交わさずに利用者同士がつながる「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」型のSNSが広がるとされている。こうした中、気になるのは日本でピンタレストがどの程度普及するか、である。
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