日本企業の「付加価値ビジネス」は限界なのか 過度な価格競争が招いた「製造業」の地盤沈下
日本の付加価値創造力のなさはデータに如実に表れている。日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較」によると、日本の時間あたりの労働生産性(就業1時間あたりの付加価値)は49.9ドル(2021年OECD調べ、購買力平価換算)。85.0ドルの労働生産性があるアメリカの6割程度しかなく、OECD加盟国38カ国中、第27位となっている。
年間の労働生産性(就業者1人あたりの付加価値)でも、日本は8万1510ドル(818万円、2021年、同)しかなく、ポーランドやハンガリーといった東欧諸国と同程度。順位も1970年以降で最低の29位。従業員1人の付加価値を稼ぎ出す労働生産性が確実に低下していることを物語っている。
日本では最近になって働き方改革が注目されるようになったが、労働時間に制限を設け、少ない労働時間で高い生産性を生み出すシステム作りをしなければならない。例えばドイツでは、平日の労働時間を理由のいかんにかかわらず最長でも10時間までに制限している。OECDの中では、最も少ない労働時間だ。
ドイツに大きく遅れた日本の製造業
ドイツは、日本の製造業を語るときによく比較される対象国のひとつだ。現在日本はGDP世界3位だが、4位のドイツとの距離は急激に縮んできている。このままでは、追い抜かれてしまう可能性が高い。
なぜ日本はドイツに抜かれようとしているのか。日本は大企業に比べて中小企業の生産性が低く、日本全体の地盤沈下に拍車をかけている。一方、ドイツでは従業員が500人以下の中小企業が国際競争力をつけて世界で活躍している。
日本の製造業が衰退しつつある中で、ドイツはいまも製造業大国の地位を確保している。冒頭で示した世界の輸出シェアでも、ドイツは6.6%(2022年)程度を維持している。中国の台頭(同14.4%)が著しく、シェア自体は下げたものの欧州共同体(EU)の中心的な地位はゆるぎない。
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