日本企業の「付加価値ビジネス」は限界なのか 過度な価格競争が招いた「製造業」の地盤沈下

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一方、中小企業庁の控除法は、売上高から経費を差し引いた金額を付加価値額として算出する。

●付加価値額=売上高-外部購入価値

これを言い換えれば、売上高を増やして経費をカットすれば企業の付加価値はアップすることになる。日産自動車を短期間で立て直したカルロス・ゴーン元CEOのような経費カットが、付加価値向上の切り札と思われてきた。

人件費がカットされて、給料の高い正規社員が減少し、非正規雇用者が急増。さらに売上高を増やすために、価格競争に参入する企業が主流を占めた。その結果、日本は海外の格安の労働力に頼ることになり、日本の製造業の多くは生産拠点を海外に移すことになる。

付加価値創造の切り札はイノベーション

日本は、商品開発や新しいサービスの開発で付加価値を高めるのではなく、海外の格安な労働力でモノを作って、より安い価格で商品を提供するほうを選択してしまった。ユニクロやダイソーが格安のビジネスモデルを展開し、日本企業の多くが価格競争への参加を強いられた。これが、デフレの原因のひとつと言ってもよいのかもしれない。付加価値をつけるか、価格で勝負するかが、ここ30年の選択の分かれ目だったというわけだ。

その点、ドイツやオランダなど欧州企業は、いたずらに価格競争に参加せずに、商品やサービスの付加価値を上げることで生き残ってきた。日本は、IT社会の到来やデジタル化といった「メガトレンド」に乗り遅れることが多かった。自動車産業も、ガソリン車からEV(電気自動車)にシフトしなければいけなかったのに、ハイブリットという技術でガソリン車に固執してしまったために、EVというメガトレンドに乗り遅れつつある。

要するに、付加価値を創造する最もオーソドックスな方法は、価格競争や目先の付加価値をつける変革ではなく、新しいイノベーションにいかに乗り遅れないか。「付加価値創造=イノベーションだ」と言っていいかもしれない。

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