ところが、その2日後。せいじの相談室から“交際終了”の連絡が来た。気持ちを育てていたさよこの速度に、“結婚”という結果を欲しがっていたせいじは痺れを切らしてしまったのだ。
「交際終了がきましたよ」
そう伝えると、さよこは呆然としていたが、結婚を決断するタイミングがズレたというのは、縁がなかったということだろう。
成婚退会も、実らず…
としや(37歳、仮名)は、私の相談所で婚活を始めて半年になる。実は、それ以前に大手相談所で活動をしていて、そこで成婚退会をした。ところが、結婚の話を具体的に進めていく中で、結婚に向かうお互いの意向にズレが出てきた。としやは、「なんとか調整をしたい」と思っていたのだが、女性側から、「婚約は解消したい」という申し出があった。
そのときの女性側の理由が、こうだった。
「なんでもかんでも、そちらのペースでことを進めようとしている気がしました」
としやにそのつもりはまったくなかった。
結婚する時期、住む場所、結婚後に女性側が仕事を続けるかどうかなど、毎回会うたびに同じ話になる。“堂々巡りで話が進まない”と感じたとしやは、順序立てて「○月○日までに、住む場所を決める」「×月×日に両家顔合わせ」「△月△日入籍」と、計画表を作った。
もちろん計画通りに進まなくても構わない。あくまでも提案だったのだが、女性はそう捉えなかった。
「私の気持ちをないがしろにしている」
彼女は、じっくりと自分の話を聞いて、そこに寄り添ってほしかったのだろう。
一旦切り替わってしまった女性の気持ちが、再び裏返ることはない。婚約は破談になり、その後、私の相談所で新たに活動を始めることになった。
としやは、大卒で大手メーカーに勤め、見た目も清潔感のある好青年。年収も1000万円近くあったので、お見合いはスムーズに組めた。ところが、交際に入っても、1度か2度会うと、断ったり、断られたりが続いていた。
そんな中でよしみ(35歳、仮名)とは、お見合い後に3回のデートをすることができた。
「次は4回目になるので、少し遠出をしようということになっています。そこで、真剣交際に進む話をしてみようと思っています」
そう私に連絡を入れてきたのだが、そのデートの場所決めをする前に、LINEで軽くよしみに前振りをしたようだ。「次のデートは4回目になりますよね。僕としては、この日いろいろな話をしながら、交際を前に進めたい気持ちがあります」
すると、こう返信が来た。「それは、真剣交際にステイタスを変えるということですか? もう少し時間をいただけませんか?」
この返信を読んで、自分と相手とでは“結婚に向かうスピード感が違っている”と感じたようだ。としやは、私に言った。
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